2013 Fiscal Year Annual Research Report
液体キセノン検出器を用いた季節変動による宇宙暗黒物質の研究
Project/Area Number |
13J02848
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
細川 佳志 神戸大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 暗黒物質 / 季節変動 / 液体キセノン / 特性X線 / XMASS |
Research Abstract |
本研究では、XMASS検出器を用いて暗黒物質の季節変動現象に関する解析を行う。季節変動解析において低エネルギー領域のふるまいはとても重要であり、より低いエネルギー領域のエネルギースケールを行いたい。そのために、特性X線を用いた低エネルギーX線源の製作を試みている。 平成25年度は、Tiの特性X線を用いた4.5keVのX線源の原理実証実験と、より低い1.5keVを得るための基礎研究を行った。また、XMASS検出器の改修作業を共同で行った。 特性X線源の原理実証のため、アルゴン・エタンガスとタングステンワイヤーを用いた検出器を作成した。特性X線の発生源として、鉄-55線源と厚さ50μmのチタン箔を用いた。結果として、予想値と誤差の範囲で一致する強度でチタンの特性X線である4.5keVのX線を得る事に成功した。 更に低いエネルギーの特性X線を得るために・チタンやスカンジウムで特性X線(4.5, 4.1keV)を発生させてからさらにアルミニウムの特性X線(1.5keV)を得るという案もあり、計算を用いた基礎的な研究を行った。計算では1.5keVの低エネルギーのX線を得られるが放射強度が低く、改善の必要がある事が分かった。 季節変動解析において重要である検出器周辺環境の安定性を評価する方法のひとつである新型ラドン検出器の性能評価を行った。バックグラウンド値や検出効率は前世代の検出器より優れている事が確認できた。 XMASS検出器の改修作業を共同で行った。これは検出器内表面(液体キセノン側)に直接触れていた放射性不純物を有したアルミニウムにふたをする事と表面の溝構造を極力減らす事を目的としている。とくにアルミニウムは検出器改修前の主たるバックグラウンド源をなっていた・結果として期待通りの効果が得られて、バックグラウンドを削減する事に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検出器の改修作業が完了し、データ取得は順調に行われている。低エネルギーX線源の基礎実験では期待通りの結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、線源の製作、線源を用いたXMASS検出器の較正を行う。製作した線源から液体キセノンへのバックグラウンド源など悪影響の有無を確認する必要があり、XMASS検出器の較正前に小型の液体キセノン検出器を用いた試験を行う。悪影響がない事が碓認できたら、XMASS検出器の較正データを取得し、低土ネルギー領域のエネルギースケールを決定する。
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Research Products
(6 results)