2013 Fiscal Year Annual Research Report
分散アンテナネットワークにおけるマルチアンテナ送受信技術に関する研究
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13J02850
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 慎也 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超高速無線通信 / 分散アンテナネットワーク / マルチアンテナ送受信 / シングルキャリア伝送 / 送受信協調フィルタリング / ハイブリッド自動再送要求 / 繰り返し干渉キャンセラ |
Research Abstract |
移動無線通信における超高速パケット伝送実現には, 送信電力問題, 広帯域マルチアンテナ送受信(MIMO)チャネルにおけるシンボル間干渉(ISI)とアンテナ間干渉(IAI)の克服が必須課題である. これまで, 送信電力問題を解決できる分散アンテナネットワーク(DAN)において, 最小平均二乗誤差(MME)規範に基づく受信フィルタリングを用いる広帯域シングルキャリア(SC)MIMO伝送について検討されているが, 残留ISIおよび残留IAIによって伝送特性改善に限界があり, 分散アンテナを有効利用することができなかった. そこで私は, 送受信機が協調してフィルタリングを行う送受信協調MMSEフィルタリングを提案してきた. 提案法は, 受信機だけでなく送信機でも送受信機間のチャネル情報を用いた信号処理を行うことで, 残留ISIおよび残留IAIを大幅に抑圧することができ, また, 端末から遠方に存在する分散アンテナも有効利用できるため, DANの伝送特性を飛躍的に向上可能である. パケット伝送では, 誤り訂正符号と自動再送要求を組み合わせたハイブリッド自動再送要求(HARQ)の採用が不可欠である. そこで本年度は, SC-MIMO伝送およびHARQパケット伝送に適した送受信協調MMSEフィルタリングについて検討し, スループット改善効果を計算機シミュレーションにより明らかにした. また, さらなるスループット向上を目指し, 送受信協調SC-MIMOの空間多重度数の最適な選択法を検討した. 各多重度数のスループット特性を理論的に導出し, これを用いて最適なMIMO伝送方式を選択する. 提案法によるスループット改善効果を計算機シミュレーションにより明らかにした. 続いて, 送受信協調SC-MIMO伝送への繰り返し干渉キャンセラの導入に関する研究を行った. 受信フィルタリング後の残留ISIおよび残留IAIの大きさを予測し, これらを最小とするように送受信フィルタ係数を決定する送受信フィルタおよびレプリカの生成法について検討し, ビット誤り率(BER)特性の改善効果を計算機シミュレーションによって明らかにした. 本研究に関し, 2件の国際会議および1件の国内研究会で成果発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「本年度の研究実施計画」の項目について十分なデータ収集を行うことができ, 国際会議および国内研究会での成果発表を行ったため. また, 未発表部分についても現在, 雑誌論文および国際会議へ投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね申請時の年次計画通りに研究は進行中である. そのため, 来年度は送受信協調SC-マルチユーザMIMOに関する研究を行う. この際, 上下リンクが非対称であるため, それぞれで最適な送受信フィルタについて検討し, 計算機シミュレーションおよび理論検討によってスループット特性の改善効果を明らかにする. さらに, ターボ符号化を用いるHARQや繰り返し干渉キャンセラ, 最適な空間多重数の選択法を導入し, これについても上下リンクそれぞれで最適な送受信フィルタについて検討する. そして, 計算機シミュレーションおよび理論検討によってスループット特性の改善効果を明らかにする.
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Research Products
(3 results)