2014 Fiscal Year Annual Research Report
分散アンテナネットワークにおけるマルチアンテナ送受信技術に関する研究
Project/Area Number |
13J02850
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 慎也 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 超高速無線通信 / 分散アンテナネットワーク / マルチアンテナ送受信 / シングルキャリア伝送 / 送受信協調フィルタリング / マルチユーザMIMO |
Outline of Annual Research Achievements |
移動無線通信における超高速伝送実現には,送信電力問題,広帯域マルチアンテナ送受信(MIMO)チャネルにおけるシンボル間干渉(ISI)とアンテナ間干渉(IAI)の克服が必須課題である.これまで,送信電力問題を解決できる分散アンテナネットワーク(DAN)において,最小平均二乗誤差(MMSE)規範に基づく受信フィルタリングを用いる広帯域シングルキャリア(SC)MIMO伝送について検討されているが,各DAと端末(UE)間のチャネル状態に応じた送信電力配分がなされないこと,また,残留ISIおよび残留IAIによって伝送特性改善に限界があり,DAを有効利用することができなかった. そこで私は,送受信機が協調してフィルタリングを行う送受信協調MMSEフィルタリングを提案してきた.提案法は,受信機だけでなく送信機でも送受信機間のチャネル情報を用いた信号処理を行うことで,残留ISIおよび残留IAIを大幅に抑圧することができ,また,UEから遠方に存在するDAも有効利用できるため,DANの伝送特性を飛躍的に向上可能であることを示した. また,複数のUEが同時にMIMO伝送を行うマルチユーザ(MU)-MIMO伝送への,送受信協調MMSEフィルタリングの拡張に関する研究を行った.SC-MU-MIMO伝送ではISIおよびIAIに加え,ユーザ間干渉(IUI)の克服が必須課題である.MU-MIMO伝送では上下リンクが非対称であるため,まず,上りリンクについて,各UEが自身とDA間のチャネル情報のみを利用して,DAと協調して行う送受信協調MMSEフィルタリングを提案した.提案法は,残留ISI,残留IAIおよび残留IUIを大幅に抑圧することができ,DANの伝送特性を飛躍的に向上可能であることを示した. 本研究に関し,1件の学会誌,1件の国際会議および3件の国内研究会で成果発表を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「本年度の研究実施計画」の項目について十分なデータ収集を行うことができ,学会誌,国際会議および国内研究会での成果発表を行ったため.また,未発表部分についても現在,学会誌および国際会議へ投稿中である.
|
Strategy for Future Research Activity |
おおむね申請時の年次計画通りに研究は進行中である.そのため,今後はDANにおける送受信協調SC-MIMO伝送のスケジューリングに関する研究を行う.UEの数,通信環境などが変化するDAN環境下で,MIMO空間多重/ダイバーシチの最適な次数の選択規範を用いるときのスケジューリング手法について検討し,従来のセルラネットワークに対するスループット特性の改善効果を計算機シミュレーションおよび理論検討によって明らかにする.この際,目的とする値(ユーザ間の公平性やシステムスループットなど)によってスケジューリング手法が異なると予想されるため,様々な手法を検討し,DANがどのような状況で従来のセルラネットワークより優れた伝送特性を達成できるのかを明らかにする. また,MU-MIMO伝送については,下りリンクにおいて最適な送受信協調フィルタリングについての検討が十分に行えていないため,これについても検討し,計算機シミュレーションおよび理論検討によってスループット特性の改善効果を明らかにする.
|
Research Products
(5 results)