2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本型雇用の変容にともなう労務管理の変化と若年正社員の離職動向に関する考察
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13J02863
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
三家本 里実 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 日本型雇用 / 若年正社員 / IT産業 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本型雇用システムの変容、あるいは縮小を、若年正社員の離職動向と企業の労務管理の変化との関係から考察することで、必要な雇用政策のあり方を検討することにある。若年層の早期離職の問題に加え、正社員のあり方をめぐる議論については、近年、政策的にも学術的にも、とくに活発な議論がなされている。日本型雇用システムの変容については、今後ますます重要なイシューとして学術的な解明・考察が急務であるといえる。こうした目的に即して、以下の課題に取り組んだ。 1、離職動向の実態調査 主に若年層からの労働相談を受け付けるNPO法人からの協力を得て、2013年1月から12月分の全約1300件の相談のうち、離職トラブルに関連する相談事案約240件のデータの解析を行った。とくに、本研究の対象としている若年正社員に関して、産業ごとの特徴や、どのような経緯で離職することになったかなどについての事例調査を通して、日本型雇用システムの分析に通ずる構造や傾向の考察に努めた。 2、日本型雇用システムに関する構造分析 日本型雇用システムの分析に関して、通時的、かつ多方面から検討している文献の精査、およびその整理を行った。そのなかで、日本型雇用システムそのもの構造分析や、近年の「変容」がいかなる理由で、どのように進行しているのかについて考察を深めた。また、これを踏まえ、修士課程から引き続き主な研究対象としているIT産業(情報サービス産業)の職務構造について、従来の日本企業に見られる労務管理との比較において、その違いに関する分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
若年正社員の離職行動に関する調査・情報収集は、おおむね順調に進んでいる。また、企業の労務管理のあり方についても、主な研究対象としている情報サービス産業を中心に、考察を深めている。
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Strategy for Future Research Activity |
若年正社員の離職動向に関する調査、および企業の労務管理の変化についての考察を継続して行う。 今後の研究では、とくに離職と労務管理という両者の関係性に着目し、日本型雇用システムにおけるその位置づけ・意義を、実証的に明らかにしていく。日本の雇用システムとその変容が、どのような構造のもとにあるのか、国際比較の文脈での検討も進める。学会報告や投稿論文における成果の発表も精力的に行い、検討を深めていく。 さらに、必要な雇用政策のあり方について検討するにあたって、昨今、さまざまに取り上げられている、「多様な正社員」の議論(限定正社員やジョブ型正社員など)についても、積極的に考察の射程に入れることとする。
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Research Products
(1 results)