2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J02871
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
笹 千舟 北海道大学, 環境科学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会性昆虫 / 性的二型 / 性決定遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
昆虫にとって触角は聴覚や嗅覚,触覚など,環境情報を得るために重要な感覚器官であることに加え,配偶者選択の際に重要な役割を果たす器官でもある.特にアリは嗅覚に依存した個体間コミュニケーションを行い,伝達される情報や行動様式の性差を反映するように触角形態に顕著な性差がみられる.モデル生物を用いた研究から,性的二型の発現は性決定カスケードがより下流の形態形成因子や発生制御因子の発現を制御することにより生じると考えられるが,ハチ目昆虫の分子発生学的知見は少なく,その至近要因は未解明である.そこで本研究では,ハチ目昆虫の性的二型の至近要因に迫るために,分子生物学的実験に適したトゲオオハリアリDiacamma sp.を用いて性的二型形質の発現に関わる調節遺伝子の発現動態及び機能を明らかにすることを目的とした.
これまでの研究成果から,昆虫の付属肢形成に関わる遺伝子や,性決定遺伝子として知られるdoublesex(dsx)など,触角での遺伝子発現量に有意な雌雄差が見られる遺伝子がスクリーニングされた.そこで今年度は,WISH法を用いて触角内部における候補遺伝子の発現部位を特定し,雌雄間での比較を行った.その結果,上記の候補遺伝子は発現部位においても雌雄差が認められた.
次に,触角における遺伝子発現動態に最も雌雄差が見られたdsxについて,RNAi法を用いた遺伝子のノックダウンを行い,性的二型形質への影響を評価した.siRNAを設計・合成して3齢幼虫へインジェクションし,成長した成虫の形態を計測した結果,体サイズの減少や体色の薄色化,触角節長及び幅の短縮化が確認された.これにより,性決定遺伝子dsxがより下流の形態形成遺伝子や細胞増殖,色素合成関連遺伝子の発現を制御し,性的二型形質の発現を制御していることが示唆された.
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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