2014 Fiscal Year Annual Research Report
森林生態系サービスの流域環境評価と地域固有性を反映した上流域の持続的生存基盤管理
Project/Area Number |
13J02903
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大出 亜矢子 京都大学, 東南アジア研究所, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 環境影響評価 / 土地利用 / 生業戦略 / 画像解析 / リモートセンシング / 空間情報 / 生態系サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「森林生態系サービスの流域環境評価と地域固有性を反映した上流域の持続的生存基盤管理」について、平成26年度遂行した主題は以下の三つである。 1、上流域の集落の土地利用における生業戦略の差異の定量的検討 2、地域固有の文化の把握と文化的価値が耕作放棄に与える影響の検証 3、谷内における稲作労働状況の抽出 対象地域であるトラジャ地域はの土地の使用状況は、水源林として指定される保護区の森林域と住民の居住環境である里山域に大きく類型化される。昨年までの植生変化に関する研究成果により(1)、保護林の植生減少は里山域よりも著しいこと、(2)、里山域においても地域別の生業状況の差異から、植生状況が地域的に異なること、が示された。平成26年度には、地域住民の土地利用に関する生業について、調査地点を最上流域のA村と中流域のB村に限定し、全戸調査を実施した。これまで質的なインタビュー調査により明らかにした地域ごとの生業選択の違いについて、アンケート調査により過去30年間に遡り定量的に各家庭レベルで検証することができた。またこの調査結果からトラジャ地域の生業は、稲作労働に準じてその他の生業を選択していることが明らかになった。主題2では、トラジャ地域の基盤生業である稲作生業と地域固有の文化的価値との関連を明らかにするために、聞き取り調査を行った。この聞き取り調査の結果から、トラジャ地域において稲作は、儀礼文化や地域内の文化的価値と関係があることが示された。主題3では、基盤生業である稲作に着眼し、天水田と灌漑水田における耕作労働状況を明らかにするため、定点観察カメラの設置による30分毎の撮影を行った。この画像から、稲のフェノロジーを抽出し、苗の移植時期、稲の刈取り時期を抽出した。また各棚田の地形特性がいかに耕作状況に関連しているかについての検証を行った。これらの結果は現在投稿準備中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は複眼的な視野からの研究アプローチをとり、複数のテーマにより構成される。従って当初の計画では、各主題に対して論文執筆を平行する予定であったが、調査回数に制限があるため、まず全主題のデータ収集と分析を終えることにした。最終年度に成果をまとめて発表する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今年度の推進方策は、それぞれの成果を査読付き国際学術雑誌に個別投稿論文としてまとめることである。社会データの補強と調査機材の回収のため、1か月程度の現地調査を予定するが、その他の期間は各主題について成果をまとめる。学術雑誌に投稿した個別の成果は、博士学位論文として再編集し京都大学に提出する。
|