2014 Fiscal Year Annual Research Report
かさ高い置換基により安定化された含アルミニウムクラスターの精密合成と物性解明
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13J02926
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長田 浩一 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機アルミニム / ジアルメン / 多重結合 / 低配位化学種 / アルミレン白金錯体 / Lewis塩基 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、アルミニム-アルミニム間二重結合化学種であるジアルメンAr-Al=Al-Ar(Ar=かさ高いアリール基)の反応性を調べることを目的として研究を行った。これまでに我々は、ジアルメンとベンゼンの形式的な[2+4]環化付加体であるバレレン型ジアルマンから穏和な条件下でベンゼンの解離を伴いジアルメンが発生することを見出しており、バレレン型ジアルマンが適切なジアルメンの前駆体になることを報告している。本年度は、①バレレン型ジアルマンとトランとの反応、②白金0価錯体との反応、および③Lewis塩基との反応を検討したので以下概要を述べる。 テーマ①については、ジアルメンとトランの[2+2]環化付加体の他に、アルミレン(Ar-Al:)とトランとの形式的な[2+2+2]環化付加体に相当する新規アルミニウム化合物が得られることを見出した。テーマ②では、ジアルメンと白金0価錯体からπ錯体が生成するものと考え検討したが、予想と反しアルミレン白金錯体(Ar-Al≣Pt(PCy3)2)が定量的に得られた。このアルミレン白金錯体は、二配位アルミニウムと遷移金属が結合した初めての錯体であり、理論計算の結果からAl-Pt間は多重結合を有することが判った。これらの結果は、ジアルメンが溶媒中でアルミレンへ解離することを示唆している。テーマ③では、ジアルメンのLewis塩基錯体の生成を企図しLewis塩基との反応を行った。Lewis塩基としてカルベンやピリジン類を用いた場合には、ジアルメンのLewis塩基錯体ではなく、原料にLewis塩基が一分子配位した錯体が定量的に得られ、熱的に安定な化合物であることが判った。この結果からテーマ③ではバレレン型ジアルマンにLewis塩基が配位することで安定化し、ベンゼンの解離が進行しにくくなることが判った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、アルミニウムーアルミニウム間に二重結合を有するジアルメンの反応性を調べることを目的としている。前年度までに目的化合物の適切な前駆体であるバレレン型ジアルマンを合成し、穏和な条件下でベンゼンの解離を伴いジアルメンが発生することを見出しいてる。そこで本年度の研究では、バレレン型ジアルマンの反応性を利用して様々なアルキンなどの不飽和化合物や、遷移金属錯体、Lewis塩基との反応を検討し、アルミニウム低配位化学種であるジアルメン(Ar-Al=Al-Ar)やアルミレン(Ar-Al:)としての反応性を明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
既に報告しているバレレン型ジアルマンは適切なジアルメン発生剤として利用できることを見出している。そこで、今年度はこのジアルメンの反応性を利用して水素や二酸化炭素、一酸化炭素、窒素といった不活性小分子との反応を検討し小分子活性化を試みる。
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Research Products
(5 results)