2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J02930
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山賀 雄一 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 癌幹細胞 / 幹細胞マーカー / Dclk1 / マイクロアレイ / Lgr5 / 組織構築実験 |
Research Abstract |
様々な癌の組織には、正常の組織と同じように、自己再生能と子孫供給能を持つ癌幹細胞が存在する可能性が想定されている。既報の消化管癌の癌幹細胞マーカーの多くは正常消化管組織の幹細胞にも発現しており、癌幹細胞に対する選択的な治療は困難とされてきた。研究代表者らは、Dclk1がマウス腸腫瘍の腫瘍幹細胞に特異的なマーカーであることを見い出し、Dclk1がヒトの大腸癌の治療標的になりうることを報告した。しかし、Dclk1単独で識別される癌細胞の集団は不均一で、この集団の中で癌幹細胞としての能力を有するものはごくわずかであることも明らかになった。そこで真の癌幹細胞をさらに絞り込むために、Dclk1を中心とする複数の癌幹細胞マーカーがともに陽性である細胞集団に着目した。今回の研究では、真の癌幹細胞とそれに特異的な因子をさらに絞り込むことを目的とし、Dclk1を含む複数の癌幹細胞マーカーが陽性の細胞に対する網羅的遺伝子発現プロファイリングを行うこととした。 研究実施計画の通り、Dclk1-CreERT2、Lgr5-CreERT2マウスとEGFPレポーター・マウス、および腸腫瘍モデルマウス等を交配した。こうして作成したマウスを用いて、正常腸管組織におけるDclk1陽性細胞と陰性細胞、腸腫瘍におけるDclk1陽性細胞と陰性細胞のソーティングを行った。そして、マイクロアレイ法による網羅的遺伝子発現プロファイリングを行った。こうして同定した諸因子がDclk1陽性細胞において、mRNAのレベルあるいはタンパク質のレベルで高発現しているかを確認している。 当初は平成26年度に行う予定であったin vitro組織構築実験を行うことに既に成功を収めた。この組織培養体に対して、先述のマイクロアレイ法で同定した諸因子の阻害薬を投与して、癌幹細胞に特異的に発現している因子を標的とした大腸癌治療の可能性を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Dclk1-CreERT2マウスとEGFPレポーターマウス、および腸腫瘍モデルマウス等を交配してソーティングを行い、正常腸管組織および腸腫瘍におけるDclk1陽性細胞と陰性細胞に対するマイクロアレイ法を用いた網羅的遺伝子プロファイリングに着手している点は順調である。既にin vitro組織構築実験に成功を収めている点は当初の計画以上といえる。しかしながら、複数の癌幹細胞マーカーが陽性である細胞をソーティングするために必要なDclk1-tdTomatoトランスジェニックマウスの作出はまだ完了していないため、区分を②とした。
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Strategy for Future Research Activity |
1. Dclk1-tdTomatoトランスジェニックマウスの作出を続行する。これをLgr5-CreERT2マウス、腸腫瘍モデルマウス等と交配する。こうして得たマウスからDclk1陽性かつLgr5陽性細胞をソーティングし、マイクロアレイ法による網羅的遺伝子発現プロファイリングを行う。 2. 上記1.でソーティングした細胞を用いて、in vitro組織構築実験を行う。そして、より造腫瘍性の高い細胞集団を検討し、真の癌幹細胞を同定する。さらに、これら真の癌幹細胞を用いて、種々の薬剤や核酸、抗体医薬を用いた治療実験を行う。 3. in vitro組織構築実験によって得た組織培養体およびin vivoにおいて、上記1.のマイクロアレイ法で同定した諸因子の機能解析を行うことによって、癌幹細胞に特異的に発現している因子を標的とした大腸癌治療を探究する。
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