2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J02945
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
穂苅 遼平 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | MEMS / 光メタマテリアル / 電磁誘起透明化 |
Research Abstract |
本研究では、ナノメートルオーダーで可動な機械構造(MEMS)により光メタマテリアルを動的に制御することを目的としている。その結果、メタマテリアル媒質の屈折率の動的制御が可能になり、光の自在制御の実現が期待できる。 研究第一年度である当該年度は近赤外域における可動光メタマテリアルデバイスの設計、製作プロセスの確立、そしてデバイスの実現を計画していた。まず、MEMS可動構造に適した光メタマテリアル構造の設計を数値計算により行った。その成果は雑誌論文に掲載されている。先行研究では光メタマテリアルの可動構造を含んだ実現系での設計および製作は報告されていなかったため、有用な情報を示すことができた。次に、可動光メタマテリアル構造の製作プロセスの確立と並列で機械的な可動構造を含まない静的な光メタマテリアルの実証を行った。製作する光メタマテリアルは擬似電磁誘起透明化が生じる二つの共振器で構成される構造である。この光メタマテリアルの近赤外域および可視域での実証に成功し、その成果は雑誌論文にそれぞれ掲載された。近赤外域では類似の構造が既に実証されていたものの、構造をより直方体に近くなるよう製作プロセスを工夫することでより鋭い擬似電磁誘起透明化の光学特性が得られた。鋭い擬似電磁誘起透明化の光学特性はより大きな屈折率変化をもたらすため、実証することは重要である。また、実験で得られた光学特性は数値計算による光学特性と良く一致しており, 数値計算の信頼性を確かめることができた。さらに、静的な光メタマテリアルを可視域にも対応できる最小寸法10nm程度の高い精度で製作する技術を確立したため、計画を前倒しして可視域での実証を行った。可視域での光メタマテリアルによる擬似電磁誘起透明化の実証は世界初であり、構成材料に依存する光学特性の実験的な比較により、応答波長に対して用いる材料の設計指針を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
静的な光メタマテリアルの実証に成功しているが、MEMS可動構造を含む光メタマテリアルの製作プロセスが未だ確立できていない。しかし、現在は最終工程である犠牲層エッチングを除く各工程の課題を解決し、設計の±10nm以下の寸法精度で製作することができている。また、翌年度計画の可視域における取組みも既に進んでいるため、現状の遅れは取り戻されると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
MEMS可動光メタマテリアルの実現に向けて、製作プロセスを確立する必要がある。製作プロセスの残課題は最終工程の犠牲層エッチングのみであるが、犠牲層エッチング量の制御及び自立構造形成後のデバイス膜の反りの抑制は簡単ではない。現状の対策は、犠牲層に関しては低いエッチングレートでのプラズマエッチングを、そしてデバイス膜の反りについては成膜時のスパッタリングの条件により残留応力を制御する方法を検討している。また、100nm以下の領域の屈折率を計測するため、位相差測定用干渉計の構築において集光レンズを導入する方法を検討している。
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Research Products
(8 results)