2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J03015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
島袋 隼士 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 宇宙論 / 再電離 / 21cm線 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、3つの研究テーマについて研究活動を行った。1つ目は、21cm線吸収線を用いて、ニュートリノ質量や温かいダークマター、インフレーション時の初期パワースペクトルのランニングを探る方法の提案である。これは、クェーサーなどの背景電波源から発せられる電波連続波がミニハロー内の中性水素によって吸収を受ける様子を、中性水素の超微細構造由来の21cm線を用いて観測することによって、宇宙論的効果と21cm線吸収線系の数を対応付けるという考えに基づいている。この研究結果に付いては、Physical Review Dにて出版された。
2つ目は、21cm線のパワースペクトルを1点統計を用いて探る方法の提案である。21cm線のパワースペクトルの時間発展のグラフには特徴的な3つのピークが現れる。これらピークは天体物理学的効果によって現れると考えられていたが、その詳細については調べられてこなかった。そこで、私は、分散や歪度などの1点統計関数を用いて、これらのピークについての物理的解釈を行った。その結果、歪度は、効果的な天体物理学的現象によって符号が変化するので、天体物理学的効果を探る指標となりうることを示した。この結果は、Monthly Notice Royal of the Astronomical Societyに投稿した。
3つ目は、21cm線のバイスペクトルの観測可能性についての研究である。21cm線輝度温度場は非ガウス統計に従うことが予測されており、パワースペクトルだけだと統計的性質を完全には探ることができない。そこで、より高次な統計量であるバイスペクトルについての理論計算およびその観測可能性について議論した。この結果は、、Monthly Notice Royal of the Astronomical Societyに投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本来は、21cm線吸収線系を用いた宇宙構造の探求が主要研究テーマであったが、今年度その研究テーマに沿った研究結果がPhysical Review Dに掲載されたので、研究目標は達成されたと考えている。これに加えて、今年度は新たに二つの研究テーマに沿って研究活動を行い、論文投稿までもっていくことができたので、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、21cm線輝度温度場の新しい解析方法について探求していく。具体的には21cm線バイスペクトルの理論的性質の探査および、これまでのパワースペクトルを用いた解析方法との比較や、これら二つの解析を組み合わせることによって、再電離モデルの制限がどの程度良くなるのかについての研究を行う予定である。
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Research Products
(6 results)