2013 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学法に基づくタンパク質反応場の理解とタンパク質デザイン
Project/Area Number |
13J03029
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 剛史 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生物物理 / 分子動力学 / QM/MM法 / 酵素反応 / Rare event / 酸解離定数 / 理論化学 |
Research Abstract |
タンパク質をデザインするためには、その具体的な反応過程を明らかにすることが必要不可欠である。その反応過程とは(A)ループ部位や基質などの移動により生じるダイナミクス、(B)基質を認職する分子認織、(C)基質を分解する化学反応、(D)反応後のすみやかな脱離の4つである。本研究では、その過程を分子動力学法という手法を利用して、具体的に全体のダイナミクスを記述することを目的としている。特に本年度における研究では、(A)について大きな比重をおいて研究を行った。 X線結晶構造解析などの実験から、一部の酵素は基質の結合に伴って大きな構造変化を引き起こすことが明らかにされており、その基質結合過程は誘導適合と呼ばれている。本研究で対象としているナイロンオリゴマー分解酵素もその1つであり、ループ領域(N166-V177)にあるY170が遠方にある基質と水素結合を形成する。一般的にループ部位や基質などの移動により生じるダイナミクスは、通常短い時間での古典分子動力学法では、検出することは非常に困難であることが知られている。この検出困難な問題を解消するために、レプリカ交換法やメタダイナミクス法などさまざま開発されているが、本研究では短時間で大規模な構造変化を抽出し、効率よく並列化計算を実行できる特徴を有したPaCS-MD (Parallel Cascade Selecton-MD)に着目し、ナイロンオリゴマー分解酵素の勝導適合の解明を行った。 PaCS-MDでは、重要な要素として、selectionルールが設定されている。本研究ではこのselectionルールを再検討することで、本研究対象系に対する計算手法のさらなる高効率化に成功した。PaCS-MDはすべての蛋白質や核酸に適応することが可能であり、本研究成果を活かし、今後のさまざまな系に波及されていくことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、一般的な分子動力学シミュレーションでは検出が困難である大規模な構造変化を、短時間で誘起する手法を自身のプログラムに導入することを行った。このプログラムの導入によって、タンパク質自身の構造変化とタンパク質デザインの関係性を明らかにするための情報を整えることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、今回導入したプログラムをタンパク質とその基質の動的変化にも拡張し、タンパク質と基質を含めたデザインを検討する予定である。これらの情報を基礎として、タンパク質デザインを検討する。
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Research Products
(19 results)
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[Presentation] Statistical mechanics based on cumulant dynamics2013
Author(s)
Yasuteru Shigeta, Takeshi Baba, Hiroyuki Ando, Ryota Nakamura, Taku Takebayashi, Ryohei Kishi, and Masayoshi Nakano
Organizer
5th JCS International Symposium on Theoretical Chemistry
Place of Presentation
Todai-ji Culture Center (Nara)
Year and Date
20131202-06
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