2013 Fiscal Year Annual Research Report
心臓の病態時におけるpH感知性Gタンパク質共役型受容体の機能解析
Project/Area Number |
13J03105
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡 健治 九州大学, 薬学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 心筋梗塞 / pH感知性GPCR / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
これまでの研究において、我々は以下のことを明らかにしてきた。(1)4種類存在するpH感知性GPCRファミリーのうち、心臓においてはGPR4の発現が最も高いことを、リアルタイムRT-PCR法により明らかにした。(2)GPR4ノックアウト(KO)マウスに心筋梗塞処置を施したところ、野生型マウスと比較して施術後の生存率と心機能が改善されることを見出した。そこで本年度は、GPR4KOマウスにおいて心筋梗塞後の心機能が改善されていた原因と、GPR4を発現している細胞を明らかにするために、以下の研究を行った。まず、心筋梗塞後28日目の心臓切片を作成し、各種染色を行ったところ、GPR4KOマウスにおいて、心線維化の程度が野生型マウスと比較して抑制されていることが、ピクロシリウスレッド染色により明らかになった。心線維化は、心不全や心筋梗塞時において心機能を低下させると考えられている病態の1つである。以上の結果から、GPR4は心筋梗塞後の心線維化を進行させる因子である可能性が考えられた。また、心筋梗塞時におけるGPR4の発現量の変化を調べるため、野生型マウスに心筋梗塞処置を施し、処置後3日目および7日目の心臓サンプルを用いて、リアルタイムRT-PCR法による定量を行った。その結果、梗塞部位および非梗塞部位のどちらにおいても、コントロール群(偽処置群)と比較して有意なGPR4の発現変化は見られなかった。心筋梗塞時には、心臓に常在している心筋細胞や心線維芽細胞に加えて、好中球やマクロファージなどの血球系細胞が浸潤してくることが知られている。GPR4の発現量が心筋梗塞時において変化しなかったことから、GPR4は病態時に浸潤してくる血球系細胞ではなく、心臓に常在している細胞において多く発現している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究において、我々は、GPR4が心筋梗塞時における線維化の進行に関与している可能性があることを明らかにすることができた。また、GPR4を発現している細胞が、心臓に常在している細胞であることを示唆する結果を得ることができた。今後はGPR4を発現している細胞を詳細に検討し、線維化への関与を明らかにしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
心筋梗塞時におけるGPR4の機能を明らかにするためには、心筋梗塞時においてGPR4がどの細胞に多く発現しているかを明らかにすることが重要であると考えられる。そこで我々は現在、心筋梗塞処置後の心臓切片を用いて、in situ hybridization法による組織染色を行い、GPR4がどの細胞に多く発現しているかを明らかにしようとしている。さらに我々は、心筋梗塞処置後の心臓より単離した細胞を様々な細胞マーカーで標識し、標識した細胞をソーティングする系を確立しようとしている。この実験により標識した特定の細胞のみを純化することで、GPR4を発現している細胞を明らかにすることができると考えられる。
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Research Products
(3 results)