2013 Fiscal Year Annual Research Report
UDP-グルクロン酸転移酵素のエピジェネティック制御の解明
Project/Area Number |
13J03152
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
織田 進吾 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | UDP-グルクロン酸転移酵素 / 組織特異的発現 / エピジェネティック / DNAメチル化 |
Research Abstract |
第II相薬物代謝酵素であるUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)はヒトでは19分子種が同定されており、それぞれが組織特異的な発現分布を示す。例えば、UGT1A1は肝と小腸に発現し、腎臓に発現しない。また、UGT1A10は小腸に発現し、肝に発現しない。本年度はUGT1A1とUGT1A10の組織特異的な発現の制御にエピジェネティック機構が関わる可能性を明らかにすることを目的とした。 ヒト腎においてUGT1A1遺伝子プロモーターは高メチル化状態(83%)であり、AcH3修飾および転写因子HNF1αのリクルートが認められなかった。一方、肝においては低メチル化状態(37%)にあり、AcH3修飾およびHNF1αのリクルートが認められた。従って、腎におけるUGT1A1の発現抑制にはこれらの機構が寄与するものと考えられた。ヒト小腸上皮においてUGT1A10遺伝子プローターは低メチル化状態(11%)であり、肝においては高メチル化状態(89%)にあった。この領域をルシフェラーゼ発現プラスミドに組み込み、レポーター活性を調べたところ、非メチル化プラスミドにおいてはHNF1αとCdx2の過剰発現による転写活性化が認められたが、メチル化プラスミドでは転写活性化は認められなかった。従って、DNAのメチル化がUGT1A10の発現を抑制していることが示された。大腸癌由来LS180と肝癌由来HuH-7細胞におけるUGT1A10のDNAメチル化状態を調べたところ、それぞれ19%と89%であった。このメチル化状態を反映し、LS180細胞におけるUGT1A10mRNA発現量はHuH-7と比べて有意に高値であった。DNAメチル化阻害剤5-Aza-dCを処置したところ、HuH-7細胞においてはUGT1A10発現量の上昇が認められ、HNF1αとCdx2の過剰発現によりさらなる発現量の上昇が認められた。HNF1αとCdx2の過剰発現のみではUGT1A10発現量の上昇が認められなかったことから、5-Aza-dCによる脱メチル化により、UGT1A10遺伝子プロモーターへHNF1αとCdx2の結合が可能となり、UGT1A10発現量の上昇に繋がったと考えられた。 以上、DNAメチル化を中心とするエピジェネティック機構がUGTの組織特異的発現を制御していることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(3 results)