2015 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷地でのオサムシの色彩進化:昼行性へのニッチシフトと鳥による捕食の回避
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13J03158
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奥崎 穣 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 体色進化 / 甲虫 / 分光測定 / 捕食者 / 捕食寄生者 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物の色は見られることで進化する.甲虫オサムシの多くは夜行性で暗色であるが,高緯度で体色に変異を示す.北海道に分布するオオルリオサムシとアイヌキンオサムシの体色は,北部では赤色に収斂するが,南部では変異が大きい. 当初は視覚の発達した鳥類の捕食によってオサムシの体色が進化したと予想していたが,これまでの調査では,オサムシの捕食者は夜行性で色覚の退化した哺乳類(タヌキ)であり,その捕食はオサムシの体色の影響を受けなかった.一方,北海道北部では捕食寄生性のヤドリバエによるオサムシへの寄生率が高かった.ハエ目は一般に黒い対象を好む.そこで申請者は「北海道北部ではヤドリバエが多く,オサムシの赤い体色はヤドリバエによる捕食寄生の回避に有効である」という仮説を着想し,以下の3つの調査を行った. まず,寄生率の季節的変化を明らかにするために,北海道の南部,中央部,北部(新冠,札幌,母子里)で積雪がない時期にオサムシとヤドリバエを2週間おきに採集した.いずれの地点でも,ヤドリバエの寄生は秋に確認された.しかし,2015年度は寄生率が低く,地点間での比較はできなかった. 次に,北海道のオサムシに寄生するヤドリバエの種を同定するために,母子里でオサムシ4種156個体を採集し,飼育下でヤドリバエ成虫の入手を試みた.しかし,未だヤドリバエの羽化は確認できていない.この観察はオサムシの寿命が尽きる2016年度の夏まで継続する.ヤドリバエ成虫の標本を入手次第,調査1で採集されたサンプルを用いて,ヤドリバエの活動期と繁殖期を明らかにする. 最後に,体色が寄生率に与える影響を評価するために,母子里で9月にオサムシ4種72個体を林床に設置した蓋のない透明な容器に入れ,5日間12時間おきに観察した.しかし,ヤドリバエによる産卵は確認されず,体色の隠蔽効果は検証できなかった.実験の時期とデザインを改良して,来年度以降に再度調査する.
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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