2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J03168
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
芹口 真結子 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員
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Keywords | 近世史 / 真宗 / 民衆教化 / 異安心 |
Research Abstract |
平成25年度では、史料調査活動において、近世真宗における学僧の民衆教化活動や、異安心(異端的教説)をめぐる事件に関する記録類などの収集作業を中心に進めた。具体的には、大谷大学図書館(京都市)において、複数回図書を閲覧し、複写を依頼した。このほか、龍谷大学図書館(京都市)・京都大学附属図書館(京都市)・城端別院善徳寺(南砺市)・金沢大学附属図書館(金沢市)・金沢市立玉川図書館近世史料館(金沢市)・同朋大学仏教文化研究所(名古屋市)・岐阜県歴史資料館(岐阜市)・新潟大学中央図書館(新潟市)などにおいて、図書の閲覧や、デジタルカメラを用いた史料撮影などをおこなった。 以上の調査活動の成果を踏まえ、学会発表や学術誌への論文投稿を実施した。まず、平成25年(2013)7月13日、第52回近世史サマーセミナー分科会(於アーブしが)において、①「学僧の民衆教化とその文字化-久留米門徒示談録を中心に-」と題する報告をおこなった。この報告をもとに、②「「問答体」講録-久留米門徒「示談録」の成立と流布をめぐって-」という論考をまとめ、学会誌に投稿した。このほか、平成25年度掲載済の論文としては、③「清南寺〈蔵書〉の世界」(『清内路歴史と文化』4、2014年)がある。また、掲載決定の論文として、④「近世真宗教団と藩権力-19世紀初頭の異安心事件を事例に-」(『史学雑誌』)がある。①~③では、近世真宗の教えの伝達過程について、書物による分析を通じて解明した。④では、異安心事件を題材に、真宗教団内の教学論争に対する藩権力の介入の様相を描き出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、出羽国僧侶による異安心(異端的教説)事件取調関係記録の調査・収集をほぼ完遂することができた。あわせて、真宗僧侶の民衆教化記録や、真宗教団による民衆教化活動の統制のあり方に関する史料の調査・収集もおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では、引き続き、香月院深励を中心とする近世真宗僧侶の民衆教化活動関係史料や、異安心(異端的教説)事件記録を調査・収集し、分析をしていく。また、触頭寺院(幕藩権力や仏教教団の法令伝達などを務めた寺院)の史料へアプローチし、仏教教団による民衆教化活動の実態面について検討していく。 加えて、平成25年度に収集した諸史料の分析をさらに進め、得られた成果を学会における口頭報告や学術誌への論文投稿といったかたちで公表していく。
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Research Products
(3 results)