2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロナノ太陽光/熱ふく射制御デバイスの構造最適
Project/Area Number |
13J03205
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
居城 俊和 長岡技術科学大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 熱ふく射 / 近接場 / 生体模倣 / 太陽光 |
Research Abstract |
生体模倣構造が有している光学/熱ふく射特性の解明および究極の最適化を目指した逆設計手法の確立を目的とし、本年度は以下の項目に基づいて研究を行った。 ①近接場熱ふく射エネルギー輸送増大現象を実証する実験系の構築 計算や理論解析により示されたふく射機能性構造の実証を目的とした実験系の構築を行った。ふく射機能性表面を対向して配置し、その距離をナノメートルオーダーで維持すると近接場熱ふく射エネルギー輸送が増大する可能性が示唆されている。この現象を実証するために超高精度光学ステージや光干渉計を駆使した高精度なナノギャップ計測・制御システムの構築を行った。まずは微細構造の無い平面基板を用いて近接場ふく射エネルギー交換実験を行った。その結果、基板間の距離が10μm以下の場合では従来のプランク則を超える熱交換がなされる事を実験的に確認することができた。遠方場だけではなく近接場によるふく射特性を評価することが可能となり、今後の研究遂行に重要な装置開発を行った。 ②大規模解析を目指した解析プログラムの拡張/HPC向けチューニング ③揺動散逸定理に基づく熱ふく射現象解析コードの開発 ④進化的アルゴリズムを用いた自動最適化手法のブラッシュアップ ふく射現象をシミュレートするためにFDTD法を基礎として数値計算コードを作成し、HPC向けにチューニングを行った。その結果ベクトル化率99.8%、並列化効率89.6%を達成し、高速な演算が可能となった。さらに自動最適化アルゴリズムをさらに洗練することで自動最適化に要する時間を最大で42%削減可能であることを示した。これにより計算負荷を軽減し、すみやかに計算可能となり、研究遂行の速度向上に繋がる。さらに高度に進化した生体構造が持っ光学/熱ふく射特性をシミュレートする第一歩となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ふく射エネルギー輸送実験装置を開発し、まずは微細構造のない平行平面間での実験を行うことができた。結果として近接場によるふく射エネルギー交換量の増大現象を確認することが可能となった。また、ふく射シミュレーションコードを作成し、任意構造の光学/熱ふく射特性をシミュレートが可能となりつつある。実験ならびに数値計算により生体模倣構造がもつ光学/熱ふく射特性の検証方法が確立しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した実験装置を使用し微細構造が持つ近接場/遠方場ふく射特性を実験的に評価する。近接場特性を評価するためには微細構造を平坦面に作成し、その距離をナノ・マイクロメートル程度まで接近させる必要がある。本年度中に実施したが表面起伏の最大凹凸差を10μm以下に抑えることができず, 妥当性のある実験を行えなかったので、より平坦な面上に微細構造の作成方法について検討する。 ふく射シミュレートコードの妥当性を検証し、自動最適化アルゴリズム組み合わせ、所望なふく射特性が発現する構造を探索し、種々の生体模倣構造がもつ光学/熱ふく射特性の解明およびアプリケーションに応じた最適化を行う。また、開発した実験装置を用いてその特性を実証する。
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Research Products
(3 results)