2013 Fiscal Year Annual Research Report
インドにおける環境知識のデータベース化と所有主体の生成をめぐる民族誌的研究
Project/Area Number |
13J03211
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中空 萌 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 文化人類学 / 所有 / 民俗的知識 / 知的所有権 / 贈与 / 人格 / 翻訳 / インド |
Research Abstract |
本研究は、民俗的知識を分類・文書化、データベース化し、その所有の主体を明確化しようとするインドの「国家」アクターの実践との関係の中で、自身を取り巻く環境や知識との関わりを再構成していく人々の「経験」に焦点を当て、「(知識の)所有主体に『なる』とはどのようなことか」という問いを追究するものである。平成25年度は、博士論文の執筆を進めると同時に、その内容の一部をアメリカ文化人類学会(インドにおける伝統医療の制度化の歴史に見る、民俗的知識と近代科学の「共約可能性と共約不可能性」というテーマについて)、国際シンポジウム"Acting with Non-human Entitites"(現在の民俗的知識データベース化プロジェクトにおける「所有」と「慈悲」の論理の流通、およびその過程への人類学的知識の循環について)、「在来知と近代科学の比較研究」研究会(インドの植物分類学と伝統治療師ヴァイディヤの知識の具体的折衝過程)において、それぞれ発表した。尚、これらの内容は、NatureCulture誌、Sciθnce as Culture誌に投稿中の英語論文にも反映している。さらに年度後半部にはインド・ウッタラーカンド州チャモリー県の農村部において、データベース化プロジェクトの対象である薬草治療をその一部とする呪術実践, Jhad-phunkについての調査を行うと同時に、そうした実践を捉えるための新たな理論研究、すなわちインドの人格概念dividualをめぐる文献研究に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに博士論文の7割部分の執筆を終えると同時に、その内容の一部をアメリカ文化人類学会での発表を含む三回の口頭発表、NatureCulture誌、Science as Culture誌などに投稿中の英語論文、科学研究費基盤(A)「環境インフラストラクチャー」、同「在来知と近代科学の比較研究」などの共同研究プロジェクト(それぞれ研究協力者として参加)に反映した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き博士論文の執筆を進めると同時に、その成果を国際学会(5月の国際民族学連合年次大会において発表予定)、学会誌(「現代思想」、International Joumal of Coproduction of Designs and the Artsに投稿予定(執筆決定))において発表する。また、8月から10月までインド・ウッタラーカンド州に滞在し、農村部における神と信者間、カースト間、ジェンダー間のやり取りを通した人格、知識形成についてさらに微視的に現地調査を進める予定である。
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Research Products
(4 results)