2014 Fiscal Year Annual Research Report
インドにおける環境知識のデータベース化と所有主体の生成をめぐる民族誌的研究
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13J03211
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中空 萌 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 科学技術社会論 / 所有 / 民俗的知識 / 知的所有権 / 人格 / 贈与 / インド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、民俗的知識を分類・文書化、データベース化し、その所有の主体を明確化しようとするインドの「国家」アクターの実践との関係の中で、自身を取り巻く環境や知識との関わりを再構成していく人々の「経験」に焦点を当て、「(知識の)所有主体に『なる』とはどのようなことか」という問いを追究するものである。平成26年度は、博士論文の執筆を進め、現在までに草稿を書き終えるると同時に、その内容の一部をNatureCulture誌(ウッタラ―カンド州生物多様性登録プロジェクトにおける「所有」と「慈悲」の論理の流通、およびその過程への人類学的知識の循環について)、Science as Culture誌(ウッタラ―カンドの植物をめぐる近代科学の分類と民俗分類の具体的折衝過程について)、『人文学報』(インドにおけるアーユルヴェーダと他の知識システムの接触史に見る、「翻訳」について)への投稿論文(いずれも採録決定)という形で発表した。また前年度から始めたインド・ウッタラ―カンド州山岳地帯における呪術実践と現地の人類学的プロジェクトの関係をめぐる経験的研究、南アジアの関係的な人格概念についての理論的研究についても進展させ、国際民族学連合年次大会、現代人類学研究会においてその内容を発表し、南アジア研究にとどまらず、文化人類学における人格論、比較をめぐる理論的考察など幅広い視点からのコメントを得た。来年度には、こうしたフィードバックをもとに内容を高め、『文化人類学』およびJournal of Royal Anthropological Institute (JRAI)への投稿論文として発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに博士論文の草稿の執筆を終えると同時に、その内容の一部を国際民族学連合での発表を含む二回の口頭発表、NatureCulture誌、Science as Culture誌、『人文学報』への投稿論文(いずれも採録決定)、科学研究費基盤(A)「環境インフラストラクチャー」、同「在来知と近代科学の比較研究」などの共同研究プロジェクト(それぞれ研究協力者として参加)に反映した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き博士論文の執筆を進めると同時に、その成果の一部を、『文化人類学』およびJournal of Royal Anthropological Institute (JRAI)への投稿論文として発表する予定である。また、8月、2~3月にかけてインド・ウッタラーカンド州に滞在し、山岳地帯における呪術実践と現地の人類学的プロジェクトの関係についてさらに調査を進める。
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Research Products
(6 results)