2014 Fiscal Year Annual Research Report
近世の地方における歌舞伎文化の展開と地芝居への影響
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13J03259
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
神谷 朋衣 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地域文化 / 地芝居 / 村芝居 / 歌舞伎 / 浄瑠璃 / 東海地方 / 芸能 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「近世の地方における歌舞伎文化の展開と地芝居への影響」は、近世後期の歌舞伎・浄瑠璃等の芸能を中心に、地域の人々の文化受容と形成の側面に着目し、東海地方を中心とする地域における、地域間の交流と地域文化の形成・展開の諸相を探ることを目的とする。 2014年度は、研究発表、論文執筆、史料調査を行い、具体的な成果は以下の通りである。 研究発表については、①2014年度日本古文書学会大会研究発表「近世後期の伊勢における芸能文化の受容」(2014年9月28日〈日〉 於皇學館大学621教室)と、②2014年度早稲田大学史学会日本史部会研究発表「近世期における伊達騒動ものの受容」(2014年10月4日〈土〉 於早稲田大学文学学術院33号館3階第一会議室)を行った。①については、伊勢地域における芸能文化受容の様相を考察した。檜垣常善の日記『常善雑事記』(天保2年~文久元年、西尾市岩瀬文庫所蔵)や、近世後期~近現代にかけて伊勢古市で貸衣装屋を営んだ、千束屋の歌舞伎台本と目録(皇學館大学佐川記念神道博物館所蔵)を分析し、まとめた。②については、近世の民衆が地芝居に何を求めたのかをさぐるため、芝居番付や地芝居の台本を用いて、地芝居でも広く上演された伊達騒動物の物語の分析を行い、民衆の嗜好について考察した。 論文執筆については、「近世後期における伊勢神職の文化受容とネットワーク」(『早稲田大学文学研究科紀要』60、2015年3月)を執筆した。本論文では、神職の家の交際と地域、文化受容の実態がどのように関わってくるのか、考察した。 史料調査については、2014年8月26~27日(訪問先:宮城県、仙台市図書館)、2014年8月31日(訪問先:静岡県、横尾歌舞伎保存会)、2015年1月30日~1月31日(訪問先:岐阜県歴史資料館)に行い、関係する史料を閲覧・撮影した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は伊勢と金指村の事例を中心に、研究を進める予定であった。伊勢の事例については研究発表と論文執筆の成果を得たが、金指村の事例については、史料の分析・考察を進めたものの、発表にはいたらなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、足助村(愛知県豊田市)、金指村(静岡県浜松市)、伊勢(三重県伊勢市)の事例を中心に分析を進めてきており、今後もこの方針を継続する。ただし、地域を限定したために史料の制約が大きく、思うような成果が得られない場合もあったため、次年度は、周辺地域の動向にも注目し、地域間の結びつきにも目を配りつつ研究を進める予定である。
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Research Products
(3 results)