2013 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜におけるTRPV3チャネルは温度を感知し創傷治癒を促進する
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13J03310
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
合島 怜央奈 佐賀大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | TRPチャネル / 温度感受性 / 口腔感覚 / 創傷治癒 / 上皮間葉転換 |
Research Abstract |
TRP (transient receptor potential)チャネルは細胞内外の様々な刺激で活性化する非選択的陽イオンチャネルであり、セルセンサーとして研究が進展してきた。そのTRPチャネルファミリーの一っであるTRPV3は33℃以上の温かい温度や香辛料成分により活性化される。我々は口腔粘膜上皮に機能的なTRPV3チャネルが発現していることを見出した。さらに、口腔上皮細胞に発現するTRPV3が口腔内の温度により活性化されることを野生型マウスおよびTRPV3遺伝子欠失マウス(TRPV3KO)を利用して明らかにした。口腔は多様な刺激に曝され損傷が生じることも多い。一方で口腔上皮は再生力が高く、速やかな治癒経過を経ることが知られているがその機構は不明である。そこで、口腔内はTRPV3を活性化する温かい温度環境にあることに着目し、「口腔粘膜に発現するTRPV3は創傷治癒に寄与する」と仮説を立て研究を行った。マウス上顎第一臼歯の抜歯をモデルとして用いTRPV3が口腔粘膜の創治癒に与える影響を調べたところ、TRPV3KOでは野生型マウスと比較し、抜歯後の治癒が遅延していた。よって、速やかな創治癒にTRPV3が寄与している可能性が示唆された。現在、in vivoでのTRPV3アゴニストや温度刺激による創治癒促進条件の検討を行っている。また、創傷治癒には上皮細胞の創部へ遊走、および上皮の被覆が重要である。そこでTRPV3が遊走能に関与するのか検討を行った。新生マウスより初代口腔上皮細胞を単離・培養し特に上皮間葉転換(EMT)マーカーに焦点を絞りmRNAレベルで調べた。TRPV3KOでは野生型と比較し上皮系マーカーの発現が上昇し、間葉系マーカーの発現が低下する傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験動物の飼育施設において感染事故が起こり, 一旦、部屋を閉鎖したことから実験が中断してしまい、予定していた実験すべてを行うことが出来なかったが、現在、研究環境は整い順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
創傷治癒促進剤の応用を目指した、マウスのin vivoの実験はアゴニストおよび温度刺激を加える条件検討を詳細に行っていく。また、in vitroの実験には初代培養細胞および細胞株を効率よく利用して行って行く予定である。TRPV3を活性化するアゴニストおよび温度刺激に応じた遊走能に関する因子の変化を遺伝子およびタンパクレベルで調べる。また細胞の形態学的な変化やwound healing assayもあわせて行っていく。得られた結果は学会にて発表し国際誌での報告も行っていく。
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Research Products
(6 results)