2013 Fiscal Year Annual Research Report
ハムストリングス肉離れ受傷メカニズム解明への科学的基礎
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13J03328
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
東原 綾子 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ハムストリングス / 肉離れ / スプリント / 筋骨格モデル / 筋電図 / 既往者 / 筋腱長 |
Research Abstract |
本年度は, スプリント時に発生するハムストリングス肉離れ発生メカニズムを解明することを目的とし, 二つの研究を行った. 《実験I》では, スプリント動作のバイオメカニクス的解析および筋電図学的検討から, ハムストリングスに生じる力学的負荷の推定を行った. その結果, 遊脚期後半におけるハムストリングス各筋は股関節屈曲角度および股関節内旋角度の時系列変化の影響を特異的に受け, 異なる筋伸張動態を示すことが明らかとなった. また, 大腿二頭筋に関して, 遊脚期後半における筋活動および筋伸張率のピークタイミングに共時性が認められたことから, 瞬間的に高い伸張負荷が生じている可能性が示唆された. 本研究により, ハムストリングスが解剖学的構造・形態の差に起因した筋活動動態および筋伸張動態を有していることが, 特定の筋の受傷リスクを高める潜在的な要因として関与している可能性が示唆された. 《実験II》では, ハムストリングス肉離れ受傷者(ケース1)および既往者(ケース2)に対象とし, スプリント動作の特徴からみたハムストリングス肉離れの危険因子を分析した. その結果, ケース1では, 股関節機能の不全により結果的にハムストリングスの伸張が増加する, 股関節機能不全を危険因子として有しており, ケース2では, 既往のあるハムストリングス自体の伸張性や筋機能自体が回復していないハムストリングス機能不全をさらなる受傷の危険因子として有する可能性が明らかとなった. 本結果は, これまで科学的データの提示が成されず推測に留まっていた受傷メカニズムの一端を明らかにし, 受傷予防のためのコンディショニングや再発予防のためのリハビリテーションにおける重要な知見となると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は, 予定していた実験をすべて完了した《実験I》. その内容については学会発表を行い, 国際学術雑誌へ現在投稿中である. さらに最終年度までに完了予定であった研究《実験II》においても完了した. 従って, 研究の達成度としては, 順調に進展していると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に行った研究によって, スプリント時のハムストリングスの伸張動態および活動動態が明らかとなった. 本研究成果をもとに平成26年度では, 最終年度に予定していた「股関節周囲筋の柔軟性および筋力比がスプリント時のハムストリングス筋キネマティクスに及ぼす影響の検討」を行う. 当初の予定より研究が進んだため, 研究の流れを考慮し, 研究計画当初の予定より研究実施順序を変更することとしたが, 研究目的達成への影響はない.
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