2013 Fiscal Year Annual Research Report
形と動きの普遍性 - 一つの液滴から細胞集団まで-
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13J03349
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
江端 宏之 千葉大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アクティブマター / 自己駆動粒子 / パターン形成 |
Research Abstract |
私は垂直加振下のポテトスターチ懸濁液の界面において安定な穴から分裂する穴への分岐現象を発見した。このような穴の形状の分岐現象を説明するために、我々は反応拡散系で提唱されている変形と重心運動についてのモデル方程式を使った。その結果、間欠的な大きな変形や分裂が起こる時間間隔などの基本的なダイナミクスを説明できることを示した。このことは、全く異なる系である垂直加振された懸濁液と反応拡散系での局在パターンが同じ枠組みで理解できる可能性を示唆している。さらに、実験データに対して自己回帰分析を行うことで、穴の形状の安定性とノイズの大きさを調べた。その結果、提案したモデルで使っているパラメーターの値と矛盾が無いことを示し、モデルの妥当性を示した。さらに、統計的な解析から、穴の形状が2段階の分岐を起こすことを示し、安定な穴から分裂する穴への分岐の過程を明らかにした。 次に私は変形をしながら自発的に動く粒子に着目をした。私は水よりも重く粘性の高いシリコンオイル上に水滴を乗せ垂直加振することで、液滴が変形をしながら運動することを発見した。これは加振により水滴と空気の気液界面のみ共振を起こし、水滴上に局在したファラデー波が起こる事で駆動されることが分かった。液滴周辺の流れ場を測定した結果、液滴周辺には4つの定常的な渦が生成されていることが分かった。この渦は液滴の運動に対応して空間的な対称性が破れている。私は液滴周辺の振動流を測定し、数値計算を行うことでAcousticStreamingにより渦が生成されていることを示した。さらに、液滴上のファラデー波の対称性が自発的に破れることで渦の空間的な対称性が破れることも分かった。空間的な対称性が破れた渦により液体中の物体が移動することは知られており、液滴は渦から受ける力で動いていると考えられる。このように、自発的に対称性を破り、液体中を泳ぐ液滴の実験は例がなく、初めての報告である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験データの統計的解析により、反応拡散系で提唱されているモデルを懸濁液界面の穴に適用することの妥当性を示すことが出来た。さらに、表面波により粘性流体中を「泳ぐ」液滴を発見した。液滴の運動が自発的対称性の破れから起こることを示し、運動の分岐が自発運動する液滴のモデルで説明できることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
液滴の実験について、液滴が渦から受けるカの大きさを評価し、渦が液滴の運動の駆動力になっているかを実験醍に明らかにする。また、液滴の形状の自発的対称性の破れは、液滴上のファラデー波の対称性の破れに由来することが分かってきている。そこで、ファラデー波を位相記述することで、ファラデー波が自発的に対称性を破ることを理論的に明らかにすることを目指す。
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Research Products
(6 results)