2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J03362
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
佐藤 亮介 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超対称性 / 暗黒物質 / LHC / ILC |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は超対称性模型および超対称性を持たない暗黒物質模型に関する研究を行った。 超対称性模型についてはヒッグス粒子が部分的に複合粒子となっている模型について研究を行った。2012年にヒッグス粒子がLHC実験で発見され、その質量の値が125GeV程度であることが判明したが、超対称性模型においては、ヒッグス粒子の質量はより小さな値が予言されるため、ヒッグス粒子の質量を増大させるような機構を組み入れる必要がある。ヒッグス粒子を複合粒子とするような模型はそのような機構を含んでおり、有望な超対称性模型の一つである。この模型では、ヒッグス粒子の超対称性パートナーであるヒッグシーノも複合粒子となるが、私は共同研究者とともに、複合粒子であるヒッグシーノの崩壊分岐比は通常の場合と大きく異なることを指摘した。 また、暗黒物質の模型に関する研究も大きく進展させることができた。IceCube実験で観測された数PeVのエネルギーを持つニュートリノ事象が大きな話題となったが、右巻ニュートリノを暗黒物質としてこの実験を説明しつつ、インフレーション、宇宙のバリオン数の生成、ニュートリノの質量を説明することができた。また、熱的残存量で暗黒物質の量が説明されるシナリオについて、簡単な模型について加速器実験や暗黒物質直接探索実験における信号の比較検討を行った。その結果、ヒッグス粒子の崩壊分岐比や電子の電気双極子モーメントの測定が暗黒物質模型を同定するために非常に有効であることが分かった。さらに、暗黒物質の模型のうちInert doublet模型においては暗黒物質直接探索実験における検出率の計算に輻射補正が重要であることを指摘し、必要な効果を正しく取り入れて計算した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた通りに研究を進め、成果を論文にまとめることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度以降LHC実験が進展する中で標準模型では説明できない事象が発見された場合に、超対称性模型の枠組みでその事象を解釈するためには、様々な模型について多角的に検討しておく必要がある。今年度はヒッグス粒子の質量が125GeVであったことを手掛かりとして模型を構築しLHCでの発見可能性および予測される事象を検討する。特に、超対称性模型に新しい物質粒子を加えた模型について検討する予定である。
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Research Products
(6 results)