2013 Fiscal Year Annual Research Report
ラジオ波応答能を持つ新規カーボンナノチューブ材料のデザイン・開発
Project/Area Number |
13J03375
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐田 貴生 九州大学, 大学院工学府化学システム工学専攻, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ラジオ波 / カーボンナノチューブ / 温熱治療剤 / 磁性ナノ粒子 |
Research Abstract |
本研究では、癌組織局所的なハイパーサーミア(温熱療法)実現のため、生体透過性の高いラジオ波に応答するラジオ波応答性CNT材料の開発・デザインを目的とした。現在までに2つの成果が得られたので下記に記す。 ①磁性ナノ粒子カーボンナノチューブ材料の開発 カーボンナノチューブの一次元のナノ空間を利用し、磁性ナノ粒子を高密度で内包した新規材料を開発した。内包された磁性ナノ粒子は直径均一(約6nm)であるため、高い発熱効果が期待できる。また、磁性粒子特有のMRI造影能も付与できるため、発熱による高い治療効果だけでなく診断薬としても期待できる。 ②長さ制御されたNiナノワイヤーの大量作製 上記の新規内包カーボンナノチューブ材料には2つの問題があった。1つ目が、カーボンナノチューブのグラファイト化度が良くないことである。グラファイト化度はカーボンナノチューブの発熱特性に影響を与えるため、高いグラファイト化度を持つことが望ましい。2つ目が、長さが不均一なことである。In vivoでの応用を考えた場合、カーボンナノチューブの長さは細胞毒性、細胞取り込みの観点から重要になる。そこで、現在は長さが正確に制御されたカーボンナノチューブの合成に向け研究を行っている。カーボンナノチューブの長さ制御のためには、長さ制御された金属触媒ナノワイヤーが必要であると考えられる。そこで、テンプレートを使った方法により、正確に長さ制御されたNiナノワイヤーを多量に得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ラジオ波応答材料を作製するために、カーボンナノチューブの一次元のナノ空間に磁性ナノ粒子を内包した新規材料の開発を目的とした。現在までに、直径均一な磁性ナノ粒子が高密度で内包されたカーボンナノチューブ材料の作製は達成したため、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、直径均一な磁性ナノ粒子が高密度で内包されたカーボンナノチューブ材料の作製は達成している。今後は、この材料がラジオ波(13.56MHz)に対して有意な応答(熱が発生するか)を示すか検討する。また、高いラジオ波変換効率を達成するため、カーボンナノチューブの高品質化、長さ制御、半導体性/金属製分離等も行い、網羅的に最適なカーボンナノチューブ材料について検討する。その後は、in vivoやin vitro試験も行い、MRI造営能による診断と発熱効果による温熱治療が同時に行える新規カーボンナノチューブ材料の開発を目指す。
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Research Products
(8 results)