2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J03389
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 由理花 京都大学, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 政党政治 / 政友会 / 自由党 / 憲政党 / 自由民権 |
Outline of Annual Research Achievements |
松田正久は、自由党・政友会の最高幹部として、自由民権期から大正初期に至るまでという長期にわたって近代日本における政党政治の確立に寄与した政治家である。本研究は、松田の政治構想・政治指導を一貫して分析することを通して、原敬研究とは違った観点から、政党政治の発展過程をより深く明らかにすることを目的とする。 本年度は、昨年度行った松田の選挙基盤分析から得た知見を、松田の政治構想全体の中で体系的に理解するために、松田が自由党の最高幹部の一員となり、第一次大隈内閣で蔵相を務めたのち自由党が地租増徴受け入れに踏み切るまでを分析した。まさにこの時期に、その後松田が原と共に西園寺公望総裁時代の政友会を指導した時代までの彼の政治構想と行動様式が表れているからである。 そのために、佐賀県立図書館や九州大学附属図書館、国立国会図書館憲政資料室等で史料調査・収集を行った。これらの一次史料と『佐賀新聞』、自由党・憲政党の党報、雑誌等の二次史料とを分析して拙稿「松田正久と政党政治の形成―自由党・憲政党のリーダーへの道 一八六九~一八九九―」をまとめ、京都大学法学研究科紀要『法学論叢』に投稿した(計6万字の3回連載で『法学論叢』第177巻第3・5・6号掲載予定)。 本稿は、近代日本の政党政治が地域性を克服しながら発展していった過程を明らかにするとともに、政友会が大政党へと発展できた要因を考える上での示唆を与えるであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は1年目に松田が生まれてから自由党最高幹部となり大隈内閣の蔵相を辞任するまでを論文にまとめる予定であった。しかし、伊藤之雄編著『原敬と政党政治の確立』(千倉書房、2014年)の出版が具体化したので、その掲載論文として、松田と選挙区との関係を「政友会領袖松田正久と選挙区佐賀県―原敬との比較の視点から―」(約61000字)を先にまとめた。 そこで2年目となる本年度、拙稿「松田正久と政党政治の形成―自由党・憲政党のリーダーへの道 一八六九~一八九九―」を『法学論叢』に投稿した。 佐賀、福岡、東京での史料調査に加え、研究会や学会にも参加して知見を深めている。以上から、研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、松田が原敬・西園寺公望と共に党の最高幹部として政党政治の確立に貢献した政友会時代の分析を進めている。この時期は、松田が近代日本で本格的な政党政治が確立されるために貢献した時期である。 以上の成果をまとめて博士論文を執筆する。そのために追加の史料調査・収集を行ったり、研究会に参加したりする。
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Research Products
(2 results)