2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J03393
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
宮原 克典 立教大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エナクティヴィズム / 現象学 / 事物知覚 / 痒み / 神経現象学 / 他者知覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、エナクティヴィズムの知覚論を現象学の観点から展開することを目的とした研究を仕上げ、その成果を博士論文「エナクションの現象学:身体的行為としての事物知覚と他者知覚」にまとめた。それに加えて、「事物知覚」「皮膚と自我」「現象学と認知科学」といったテーマに関して、下記の通りに研究を進めた。 【事物知覚】昨年度の研究では、事物知覚が身体的行為に依存していることを記述的に明らかにしたので、本年度の研究では、これがどれほど本質的な分析になっているかを検討した。すなわち、事物知覚が身体的行為に依存するのは単なる偶然的事実なのか、事物知覚という経験の本質的な特徴なのかを考察した。これが単なる偶然的事実であることを主張するために「視覚性運動失調」および「視覚失認」という神経学的症例を証拠を持ち出す人々がいる。そこで本年度の研究では、これが本当にこのような主張の証拠となっているのかを分析して、必ずしもそうはいえないことを確認した。 【皮膚と自我】わたしたちの経験における皮膚感覚の意義に関する研究にも取り組んだ。とくに注目したのは、自我と感覚の関係である。通常、自我は感覚経験をえるものではあるにしても、感覚経験とは独立に存在すると想定される。しかし、アトピー性皮膚炎における痒みの経験に関する現象学的分析を通して、身体的主体としての自我は正常な皮膚感覚に構成的に依存していると見なせることを示した。 【現象学と認知科学】認知科学/神経科学に対する現象学の意義に関する考察にも取り組んだ。第一に、エナクティヴィズムを現象学の分析手法を中核にすえたリサーチプログラムとして描き出すことを試みた。第二に、「神経現象学」と「ラディカル・エナクティヴィズム」の立場を分析して、意識のハードプロブレムに対する現象学の意義を検討した。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)