2015 Fiscal Year Annual Research Report
唐・五代期の僧尼の書儀・書簡文に関する文献学的考察
Project/Area Number |
13J03545
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 孝子 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 唐五代 / 敦煌 / 書儀 / 書簡 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である今年度は当初の予定通り、『五杉練若新学備用』や『高野雑筆集』などの資料を中心に分析を進めた。また、昨年度に引き続き、書式の復元・分析も行い、特に凶書に関わる「短封」や吉書の書式について新たな知見を得ることができた。 5月に香港中文大学で開催された2015 Young Scholars' Forum in Chinese Studiesに於ける口頭発表「《高野雜筆集》下卷所収録的両封凶書相関問題研究」は、2015年3月に「西北出土文献与中古歴史研読班」において行った報告に大幅な加筆訂正を加えたものである。『高野雑筆集』下巻に收録される二通の凶書の性質について考察を加え、従来の研究において告哀書と見做されてきた書簡が実際には短封を伴った二通一組の弔答書であることを明らかにした。 8月に敦煌で開催された2015敦煌論壇:敦煌与中外関系国際学術研討会に於ける口頭発表「吉儀中是否有“三幅書”?――唐五代宋時期書札格式的復原」では、凶儀に「三幅書」と呼ばれる書式が存在したことが知られているが、吉儀にも対応する書式が存在するのか、唐から宋にかけての書儀に見られる書式を分析した。宋代の通婚書などに三通一組の書簡が存在したものの、公啓と婚啓という性質の異なる書簡が組み合わせられたものであり、すぐに別の書式に取って代わられたため、「三幅書」としては認識されていなかったとの結論に至った。 書式の分析を通して、東アジア文化圏における書儀の普及・利用の実態を明らかにするという研究目標は徐々に達成しつつあるが、研究成果の体系化を図ることは十分にできたとは言いがたい。この点については今後の課題としたい。しかしながら、敦煌発見の唐・五代期の書儀・書簡文、『高野雑筆集』、『五杉練若新学備用』を相互に比較対照し、その共通点や相違点を明らかにし、わずかな期間における書札礼の変化を観察できた。
|
Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(5 results)