2013 Fiscal Year Annual Research Report
過大規模連合の多項選択モデル:州政府の政権成立までを射程に
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13J03560
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
新川 匠郎 上智大学, グローバル・スタディーズ研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 議会制民主主義 / 連立研究 / 過大規模連合 / 州政府 / オーストリア : ドイツ |
Research Abstract |
本研究は、議会制民主主義における合意を重んじる政権について研究するものである。そこでは、なぜ政党間の合意を重んじる政権が成立するのか、そして、それはいかなる因果的仕組みを通じて成立するのか、との問いを持って研究を進めている。この時、二つの点に着目している。一つ目は、過大規模連合と呼ばれる理論枠組みである。二つ目はその理論のナショナル・レベルの政権に留まらない、サブナショナル・レベルの政権への応用可能性である。本年度は、以上の点を検討するための調査を行い、以下の点を明らかにした。 一つ目は過大規模連合の理論枠組みに関する研究調査と関係している。この研究調査では合意型の政権を観測できる20カ国のデータの取りまとめを行っている。この時、データ内にある各事例を原因条件の配列を示すものと捉えて整理した。これにより、過大規模連合の理論枠組みで従来見過ごされてきた原因条件の組み合わせ、並びに原因条件の組み合わせの創発の効果を明らかにしている。 二つ目はサブナショナル・レベルの政権への応用可能性に関する研究調査と関係している。この研究調査では、オーストリアとドイツの州で見出せる合意型の政権に関するデータを収集している。その際にはドイツのシュパイアー行政大学院公共政策研究所、ベルリン自由大学オットー・ズール政治学研究所を研究の拠点として、文献調査と専門家への聞き取り調査を実施している。この調査は、日本では手に入れにくいオーストリアとドイツの州に関する各種データの入手を目的とするものであった。この研究調査によって、過大規模連合の理論枠組みをドイツとオーストリアの州で応用する際に考慮すべき諸特徴を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この評価は、平成25年度に予定していたデータの収集がほぼ予定通りに進んでいることに起因する。また、このデータの収集の過程で分析にかけられるデータを並行して作ることもできたことが、この評価の理由でもある。ただし、平成25年度はデータの取りまとめと分析を行う余地を多分に残したため、当初の計画以上に進展があったとは評価していない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、過大規模連合の理論枠組みのサブナショナル・レベルの政権への応用可能性を探るとの点に注力する。そこでは以下の研究方策をとる。一つ目はベルリン自由大学オットー・ズール政治学研究所を拠点に、ドイツとオーストリアの州のデータ収集をさらに進めるとの方策である。二つ目は収集したデータを取りまとめて、随時分析にかけていくという方策である。ただし、この二つの研究の方策を同時にとるためには、独自のデータ分析、保管の出来る環境を海外において作り上げねばならない、との問題点をかかえる。この点は分析ソフト、それを円滑に実行するPC、データの記録、研究報告・論文執筆で用いるレーザー複合機などの購入によって対応していく。
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Research Products
(3 results)