2013 Fiscal Year Annual Research Report
シアル酸代謝酵素の逆遺伝学的および生化学的解析によるシアル酸の機能探索
Project/Area Number |
13J03566
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
呉 迪 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員 DC-1
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Keywords | シアル酸 / TILLING / CMP-シアル酸合成酵素 / 昆虫 / 細胞内局在 / メダカ |
Research Abstract |
シアル酸は糖タンパク質のN型糖鎖やO型糖鎖、糖脂質の非還元末端に位置する単糖である。シアル酸は結合様式や修飾基の多様性が知られていること、またそれらが発生段階や組織特異的な発現をすることから多様な生物学的意義が推定されている。しかし、シアル酸の構造多様性や時空間特異的発現の真の生物学的意義は未だに解明されていない。本研究はその意義の解明を目指して、以下の目的を掲げて推進してきた : (1) メダカを動物の個体モデルとして用いて、シアル酸の発生段階特異的および組織特異的な発現の生物学的意義を解明すること ; (2) 脊椎動物とは性質の異なる昆虫由来CMP-シアル酸合成酵素(CSS)を用いることによって、CSSの細胞内局在およびCSSの未知領域であるC末端ドメインの存在における重要性を明らかにする。まず、(1)については、CMP-シアル酸合成酵素(CSS)に着目して、その発現抑制メダカ(ノックダウン(KD)メダカ)の作出をTILLINGという逆遺伝学的技術を用いて行った。その結果、2種類のCSS変異体酵素で酵素活性が低下する遺伝子の存在が見出された。現在、個体レベルでの表現型を探索できる段階になりつつある。また、(2)については、3種類の昆虫(コクヌストモドキ、カ、ハエ)からCSSをクローニングすることに成功し、組換え体酵素の多様なシアル酸種に対する速度論的解析と細胞内局在解析を行った。その結果、全ての昆虫由来CSSは弱いながらも酵素活性を有することがわかった。一方、細胞内局在については、ハエCSSはゴルジ装置に局在するのに対して、コクヌストモドキCSSとカCSSは主にERに局在するという興味深い違いがあることをつきとめた。この昆虫種によるCSSの局在性の違いは新しい発見であり、今後さらに検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでにCSSノックダウンメダカを作出するために、TILLINGライブラリーを探索して、CSS活性の低い2種類の変異体メダカを作出することができた。また、3種類の昆虫CSSのクローニングと活性測定と細胞内局在の解析をほぼ終了することができた。予定された内容を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度作出したCSSノックダウンメダカの表現型を明らかにして、個体レベルでの時空間特異的シアル酸の役割を探索する。また、臓器特異的にCSSノックアウトしたメダカの作出と解析を行う。昆虫CSSの活性と細胞内局在性については、昆虫細胞での発現系を利用して、組換え体酵素を調製してシアル酸種特異性を調べる。また、細胞内局在性の違いの原因を究明して、その生物学的意義を解明する。
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Research Products
(6 results)