2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J03591
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩原 佳典 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地域教育史 / 幕末維新期 / 学校創設 / 就学告諭 / 地方文人 / 教職者 / 名望家 / 筑摩県 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、本研究課題の最終年度につき、①3年間の研究成果を総括するとともに、②次年度以降の展望を見通すことを目標に研究に取り組んだ。 ①これまでの研究成果の総括:第一に、拙著『名望家と<開化>の時代』(京都大学学術出版会、2014年)に対する書評へのリプライという形で、見出された研究課題や今後の展望についてまとめた。拙著の行論を読み直しつつ、今後の方向性を展望する貴重な機会となった。第二に、筑摩県(信濃国安曇郡)の教職者・藤森寿平について、近世段階における遊歴の経験や教育歴に焦点を合わせて検討した。天保期から明治末期までを生きた藤森が、近世的な地方文人としての作法や教育経験をもとに、近代的な教育制度といかに向き合ったのか、その様態を解明した。 ②次年度以降の展望:本研究課題とも密接に関わる共同研究の成果報告として、川村肇・荒井明夫編『就学告諭と近代教育の形成-勧奨の論理と学校創設』(東京大学出版会、2016年)が刊行された。このうち、第2部第4章「筑摩県の権令・学区取締・学校世話役―就学告諭をめぐる重層性に着目して―」を担当した。長野県大町市美麻千見地区の永田家文書をひとつの柱としながら、筑摩県の学校創設に関わった多様な人びとの動向について、役職をめぐる差異に注目しつつ検討した。とりわけ、学校資金をめぐる村の諸階層の動向を把握した。一連の検討を通じ、地域の教育近代化は、行政文書にはあらわれにくい交渉やしがらみのなかで推進されていたことを実証した。学校設立など、地域社会における教育的営為を支える財政基盤への着眼は、昨年度までの本研究課題では十分に掘り下げられなかった課題である。本稿は、財政への分析視角により、行政を担った官吏や地域リーダーばかりでなく、村々の小前層をも視野に入れた形で地域社会を把握することを試みたものである。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)