2013 Fiscal Year Annual Research Report
POLARBEAR2による宇宙背景放射偏光観測を用いたインフレーション理論の検証
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13J03626
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
井上 優貴 総合研究大学院大学, 高エネルギー加速器科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙マイクロ波背景放射 / B-MODE |
Research Abstract |
報告者は平成25年度に実施したPOLARBEAR-2の開発において、計画通りの成果を得る事ができた。報告者はインフレーション起源の宇宙マイクロ波背景放射偏光観測実験を行う為に必要なPOLARBEAR-2における、測定装置の大型化に取り組んだ。インフレーション起源の宇宙マイクロ波背景放射を精密に観測し、インフレーションモデルを推定する為には現在行われている実験の感度では十分ではなく、装置の大型化し世界最大の検出器数を実現する事が必要不可欠である。しかし、装置を大型化する事は、ノイズ源である赤外線の影響も大きくなる。したがって、観測帯域の信号のみを透過する赤外線フィルターの開発が必要不可欠である。従来の赤外線フィルターは大型化にともなって光を多く吸収してしまう為に発熱する問題があり、大型化を実現する為には発熱を抑制する技術を開発する事が必要不可欠である。報告者は平成25年度の研究において、従来の1000倍の熱伝導率をもつ、赤外線フィルターを世界に先駆けて開発した。これらの技術を達成した事に依って、発熱は抑制され大型の光学系が技術的に実現可能となった。報告者はさらにこれらの技術を応用し、実際に極低温光学チェンバーにおける冷却系の構築を達成した。これらの研究の成果は国際学会2件と国内の物理学会1件、筆頭著者論文1件として発表した。さらに、実験の感度向上に必要な黒体の開発にも取り組み、現在、論文の執筆を行っている。また、POLARBEAR-2実験の前身である、POLARBEAR-1実験の観測にも参加し、重力レンズ起源のB-mode検出についての論文を1件発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
POLARBEAR-2の実験を行う上で最も困難であった、大型化を達成する為に必要な技術である赤外線フィルターの開発に成功し、冷却系を構築した事によって、本観測前の統合試験を行う事が出来る様になったからである。
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Strategy for Future Research Activity |
インフレーション起源の宇宙マイクロ波背景放射偏光を測定する為に、観測装置の統合試験をおこない、チリでの観測をおこなう。チリでの観測を行う為には観測周波数における偏光の絶対角の較正が必要である。従来の実験では、較正に tau-A と呼ばれる超新星の信号をもちいて絶対角の較正を行うが、POLARBEAR-2での周波数における測定はまだ行われていない。そこで、報告者は本観測に先駆けて tauA の偏光方向の絶対角較正を行う為のキャリブレーター開発とキャリブレーション試験をチリで行う。観測後は統合試験を引き続き行い、平成27年に本観測をおこなう。今年度は、統合試験を行い、来年にチリでの本観測をおこなう。
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Research Products
(3 results)