2013 Fiscal Year Annual Research Report
紅藻由来ブロモトリテルペンポリエーテル、アルマトールFの全合成研究
Project/Area Number |
13J03686
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 啓太 北海道大学, 理学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 天然物合成 / 海産天然物 / ポリエーテル / トリテルペン |
Research Abstract |
自然界から有益な生物活性を有する天然物が多く発見される一方、しばしば天然存在量の微量性がこれらの物質の構造確認および量的供給の障害となる。本研究では、立体化学と物質供給の問題の解決を目的として、合成例のない複雑な構造を有するポリエーテル天然物の効率的な合成方法論を開拓することをテーマとし、アルマトールFを標的分子として合成研究を展開した。アルマトールFは、ブロモオキセパン(A環)とトランス/シス-6,7,7- 3環性縮環エ一テル(BCD環)が炭素鎖で連結した全体構造を有する。既にA環部の合成経路はほぼ確立しているため、構築例のないBCD環部の合成完了を目指した。不斉転写型Ireland-Claisen転位とリレー型閉環オレフィンメタセシス反応(RRCM)を鍵反応としてBC環部を合成した後、Wittig反応やHorner-Wadsworth-Emmons反応による増炭、およびアルキル化反応によってD環炭素骨格を導入した。その炭素鎖上に存在するオレフィン部に対し、2,6-di-tert-butyl-methylpyridine存在下で臭素を作用させることで、D環上の立体的に込み入った位置に存在する臭素置換基の導入を実現した。その後の官能基変換によって得られたブロモヒドリンを、ヨウ素とトリフェニルホスフィンで処理することでアリルブロミド構造を構築し、閉環オレフィンメタセシス(RCM)前駆体の合成を可能にした。RCMによるD環構築を検討したが、未反応または基質分解により生成物を検出することは出来なかった。また、RRCMの検討も行ったが、望まない大員環化合物が生成し、目的のD環閉環体は得られなかった。しかし、RCMの際には未反応であったオレフィンがRRCMでは反応に関与していることが判明し、RRCMによるD環構築の可能性を示唆する結果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
|