2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規アディポサイトカインomentinの心血管病に対する作用解明と獣医療への応用
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13J03703
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
風間 恭輔 北里大学, 獣医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アディポサイトカイン / omentin / 血管壁リモデリング / 血管平滑筋細胞 |
Research Abstract |
Omentinは内臓脂肪組織中に発現する新規アディポサイトカインであるが、肥満症患者で血漿中濃度が低下しているため、私はomentinが肥満に併発する高血圧症の進展に関わるのではないかとの仮説を立て研究を行ってきた。今年度は、①omentinが血管平滑筋細胞(SMCs)の増殖・遊走を介した血管壁リモデリングに及ぼす影響を明らかにすること、②omentin慢性投与の高脂肪食給餌マウスに及ぼす影響を明らかにすることを目的として、研究を進めた。結果、①Omentinはplatelet-derived growth factor-BB誘導性NADPH oxidase/reactive oxygen species (ROS)/p38/heat shock protein27経路の活性化を阻害することで、SMCs遊走を抑制した。さらにomentinはin vivoにおいても新生内膜肥厚を抑制した(Kazama et al., Am J Physiol-Heart Circ Physiol. In press)。これらの結果から、omentinがin vitroのみならずin vivoにおいても高血圧発症に関わる重要な病態プロセスである血管壁リモデリングの進展を阻害することが初めて明らかになった。②Omentin慢性投与は、マウス大動脈において高脂肪食負荷により増加したROS産生と炎症性タンパク質VCAM-1発現を抑制した。これらの結果から、omentinは肥満による血管の初期病変である炎症性反応を抑制する可能性が示唆された。今年度の実験結果により、omentinがin vitroやin vivoにおいて高血圧症の進展に関わる重要な血管病態プロセスを抑制することが明らかになったことから、高血圧・心不全モデル動物においてもomentinの抑制効果が期待され更なる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿ってomentinの血管壁リモデリングに及ぼす影響を検討し、結果は学会で発表した後、論文として発表することができた(Kazama et al.,Am J Physiol-Heart Circ Physiol. In press)。この結果と過去の我々の結果から、in vitro、ex vivoにおいてomentinが抗血管炎症作用、抗血管収縮作用、抗血管壁リモデリング作用を有することが明らかになり、in vivoにおいてもomentinが高血圧症に対して抑制的に働いている可能性が高いと考えたため、in vivoで高脂肪食給餌マウスにおけるomentin慢性投与が及ぼす影響を検討した。この結果は学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
高脂肪食餌マウスにomentinを慢性投与した実験では高脂肪14週間給餌では血圧が上昇しないなどの問題点ががあった。今後は、ピロリジンアルカロイドであるモノクロタリン誘発性肺高血圧ラットや、アンテトラサイクリン系の抗腫瘍性抗生物質であるドキソルビシン誘発性心機能障害マウスなどの高血圧・心不全モデル動物を使用してornentin慢性投与の作用を詳しく検討していく。
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Research Products
(6 results)