2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J03730
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺川 純平 京都大学, ウイルス研究所, 学振特別研究員(PD)
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Keywords | 胚着床 / 胎盤形成 / 内在性レトロウイルス |
Research Abstract |
内在性レトロウイルスは、ヒトでは全ゲノムの8%を、マウスでは10%を占め、その発現制御は個体発生や胎盤の形態形成において機能的に非常に重要であることが、近年明らかとなってきている。本研究は、胎盤形成における内在性レトロウイルスの役割を明らかにすることを目的とし、新規の内在性レトロウイルス由来転写産物および蛋白質を同定し、その機能について明らかにしようとするものである。 本年度は、海外渡航に関する制度を利用して、米国シンシナティ小児病院医療センター(生殖科学部門)にて研究を行った。胎盤の形態形成に障害のある遺伝子改変マウスの妊娠子宮と野生型マウスの妊娠子宮とを比較した遺伝子転写産物の網羅的検索を行い、内在性レトロウイルス由来の転写産物の発現の有無について検討を行った。そのなかで、正常の妊娠過程において、胎盤形成初期の胚着床の段階で、母体側の子宮上皮で発現が増加する内在性レトロウイルス由来の転写産物に着目した。これまで胎盤形成において必要不可欠な内在レトロウイルス由来の転写産物および蛋白質は、胎盤の胎子側組織でのみ発現しており、母体側組織で発現する内在性レトロウイルスは、胎盤形成において新たな役割を担っている可能性がある。クローニングを行った結果、この新規転写産物は、内在性マウス白血病ウイルスのenv「遺伝子に由来しており、コーディング領域の途中に終始コドンを含まず、蛋白質に翻訳されている可能性があった。この転写産物、および蛋白質の機能解析を行うために、哺乳類細胞用発現ベクターの作製とpET systemを用いた組み換え蛋白質の作製を行った。現在、培養細胞を用いたin vitroでの実験を中心に、機能解析及び発現の制御解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胎盤形成初期の胚着床時に母体側で発現が増加する新規の内在性レトロウイルスを発見し、胎盤形成における新たな役割を示せる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞を用いたin vitroでの機能阻害実験、過剰発現実験を行い、細胞の形態や形状変化、遺伝子発現に対する影響を調査する。
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