2013 Fiscal Year Annual Research Report
高次光超音波生体イメージングのための符号化パルス変調法に関する研究
Project/Area Number |
13J03749
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
張 海崇 京都大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光超音波イメージング / 符号化パルス変調法 / 高フレームレート / 高SN比 / 速度計測 |
Research Abstract |
研究実施計画の第一の課題として光超音波に最適な符号の検討を行った。光超音波の特性上、光は正のパルスのみ送信可能であるため、従来のM系列関連符号を始めとする正負によって構成される符号では、正と負と二度に分けて送信し、差分を取ることで本来の符号を再現している。また、符号生成の制約により、周期的符号送信ができず、不安定な符号化アーティファクト(サイドローブ、クロストーク)が発生する。以上の問題を克服するため、周期的単極M系列符号を考案した。通常M系列符号は双極符号であるが、周期的単極M系列符号はM系列符号の正の符号のみより構成され、周期的に送信でき、復号化の際にはM系列符号が用いられる。特徴として、単波長送信においてサイドローブを発生させず、二波長同時送信におけるクロストークの大きさは、符号長に応じて一定値を示す。通常超音波は送信受信系が同一であるため、周期的送信は用いられないが、光超音波の場合はわかれているため、周期的送信を効率的に行うことができる。シミュレーション及び実験検討を通じて、本符号の有用性が確認された。 また、本提案手法の実用化においては、組織の非線形性や超音波受信機の周波数特性による影響が想定される。そのため、擬似生体ファントムを用いて、提案手法のこれらの懸念点に対する影響を検討した。従来の実験検討では黒色を中心としたラバーワイヤーを水中に設置し、レーザー照射を行い、発生する光音響信号を計測していたが、今回、ラバーワイヤーをアガーゲル中に埋め込み、より生体に近い環境でのイメージング計測を行った。結果として、光の減衰により、符号化を行わない場合ではほとんど信号を取得できないのに対し、符号化パルス変調法を適用することでノイズに対する信号の強さを増強することを確認できた。 さらに、光超音波イメージングを拡張させた光超音波速度計測に対して符号化パルス変調法を適用することで、高速度血流や微少変化の計測を可能にする超高時間分解能での速度計測の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、符号化パルス変調法光超音波イメージングの機能向上を達成した。単波長での使用で符号化アーティファクトを発生させず、複数波長同時送信が可能な周期的単極M系列を提案し、アガーゲルファントムを用いた実験検討を行った。また、光超音波イメージングを拡張させた光超音波速度計測に対して符号化パルス変調法を適用し、超高時問分解能の情報を取得する方法を考案した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究課題として、実用化に向けた更なる実験的検討の必要性が挙げられる。具体的には、符号化パルス変調法は受信信号の線形性を前提条件として必要としており、医動物を用いたイメージングを通じた組織から発する光超音波信号の非線形性が符号化パルス変調法に与える影響を考察する必要がある。また、提案手法の有用性をより主張するために、より高速なレーザーを用いた検討を行う必要がある。通常光超音波では高価でパルス送信間隔の長い固体レーザーが用いられるが、安価で高速なダイオードレーザーは符号化パルス変調法との相性の良さが期待される。安価で手軽な装置の開発は、光超音波イメージング法の普及における大きな一助となることが示唆される。
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Research Products
(3 results)