2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機超強酸を用いた精密重合法による特殊構造ポリマーの合成と機能性材料の開発
Project/Area Number |
13J03764
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高田 健司 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機分子触媒 / 精密重合 / グループトランスファー重合 / 特殊構造ポリマー / 末端官能基化 / 星型ポリマー |
Research Abstract |
本研究では、新規に合成した開始剤を用いたグループトランスファー重合により特殊構造ポリマーの精密合成を行い、得られたポリマーの物性評価により、高度な機能性を有する材料の開発を目的とした。 本年度(平成25年度)は、特殊な構造を有するポリマー合成のための開始剤合成について検討を行った。実際には開始点を4つ有する星型構造を有する開始剤、ポリマーの開始末端に官能基(水酸基、エチニル基、ビニル基、ノルボルネン)を導入可能な開始剤を合成した。また、これらの開始剤はアクリル酸ブチルのグループトランスファー重合に適応可能であり、構造が精密に制御されたポリマーの合成が可能であることを明らかにした。さらに、開始剤によるポリマーの特殊構溝化以外にも停止剤によるポリマー末端の官能基化についても検討を行った。停止末端を水酸基、エチニル基、ビニル基プロモ基官能基化することにより上記の開始剤法との組み合わせでポリマーの開始・停止末端および両末端に様々な官能基を導入することができ、ブロックコポリマーの合成やポリマーの末端修飾など学術的・工業的にも非常に有用なポリマーが合成可能となった。さらに複雑な構造を有する開始剤として開始点を6つおよび8つ有する開始剤の合成についても検討を行ったが、いずれも開始剤を得ることは困難であった。これは、シリル化されるエステル部位が込み合っているため、シリル化が定量的に起こらなかったことが考えられる。さらに、環状構造を有する開始剤についても同様に重合に適応可能なものは得られなかった。以上の結果から、今後は開始剤の分子設計を見直し、再度合成を行うことで分岐数の多い開始剤を合成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、特殊な構造を有した開始剤の合成を達成し、それらの開始剤を用いた重合系を確立している。さらに適用可能モノマーの検討により重合系の有用性も明らかになってきている。以上の成果から現在までの達成度はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、星型や大環状ポリマーなどの合成法を詳細に検討し、構造が精密に制御されたポリマーの合成を目指す。また、得られた特殊構造ポリマーの物性についても検討を始める予定である。この段階で、物性に大きな変化等が現れなかった場合は、適応可能モノマーの拡大を行い、本重合系が新たな高分子合成法として有用なものであることを示すとともに、機能性モノマーの重合により得られたポリマーの物性を評価する。
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Research Products
(8 results)