2013 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリにおける非酵素的糖化反応化合物の生理的機能解明と産肉性向上への応用
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13J03782
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
牧野 良輔 岩手大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 糖化反応 / トリプトファン / PHP-THβC / 筋芽細胞 / タンパク質合成 / インスリン様成長因子 |
Research Abstract |
今までに、トリプトファン過剰添加飼料を給与したニワトリの血中トリプトファン濃度と血中糖化トリプトファン濃度の間に正の相関が認められることを見出している。そこで、トリプトファン過剰添加飼料をニワトリに給与し、血中のトリプトファンおよび糖化トリプトファン濃度の経時的変化を調査した。10日齢のニワトリにトリプトファンを2または3%添加した飼料を1、3、7および14日間給与し、各実験期間終了時に血液を採取した。飼料給与開始前と比較し、ニワトリの血中トリプトファン濃度および糖化トリプトファン濃度は、トリプトファンを3%過剰に添加した飼料を1および3日間給与した実験区において有意に増加したが、その後血中トリプトファンおよび糖化トリプトファン濃度は低下していった。以上の結果から、血中のトリプトファン濃度と糖化トリプトファン濃度が同様の経時的推移を示すことが明らかとなった。 これまで、糖化トリプトファン化合物であるPHP-THβCがニワトリ胚筋芽細胞のタンパク質合成を抑制することを明らかにしている。そこで、PHP-THβCがニワトリ胚筋芽細胞のタンパク質合成を抑制する機序を調査するため、タンパク質合成を促進することが知られているインスリン様成長因子-I(IGF-I)に関連する遺伝子(IGF-I、IGF-II、IGF typeIレセプター、IGFtypeIIレセプター)発現に対するPHP-THβCの影響を調査した。ニワトリ胚筋芽細胞を調製し、PHP-THβC濃度が0、4および16μMとなるようにPHP-THβCを添加した培養液で筋芽細胞を培養した後、TotalRNAを得た。その後、IGF-I関連遺伝子のmRNA発現量をリアルタイムPCR法を用いて測定した。その結果、PHP-THβCはニワトリ胚筋芽細胞のIGF-I関連遺伝子のmRNA発現に影響しない可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、トリプトファンの非酵素的糖化反応化合物であるPHP-THβCの生理的機能を解明し、産肉性向上に応用することを目的としている。 まず、糖化反応化合物の生理的機能を解明するために、PHP-THβCをニワトリの翼下静脈から投与し、PHP-THβCの生体内半減期を測定している最中である。また、糖化反応化合物の代謝分解機構を解明するために必要な^3H標識PHP-THβCを^3H標識トリプトファンから合成している最中である。 加えて、産肉性向上のために筋肉のタンパク質合成を直接的に促進するインスリン様成長因子-I関連遺伝子の発現に対するPHP-THβCの影響を調査しており、新たな知見を得ている。 以上のように、当初の目的を達成すべく実験は順調に遂行されており、さらに生体内トリプトファンとPHP-THβCの関係についても新たな知見を得るなど、期待以上の研究の進展があったと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
トリプトファン糖化反応化合物であるPHP-THβCの半減期の測定を行っている。この結果を元に、ニワトリの翼下静脈よりPHP-THβCを投与し、摂食行動への影響を調査する。また、摂食行動の中枢は視床下部にあるため、末梢のみならず脳室内への投与も行う。 次に、^3H標識トリプトファンから合成した^3H標識PHP-THβCをニワトリに投与し、各組織の放射能を調べることでニワトリの組織におけるPHP-THβCの取り込み具合を調査する。これにより糖化反応化合物の代謝分解機構を解明する。
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Research Products
(1 results)