2013 Fiscal Year Annual Research Report
短距離走クラウチングスタートの技術およびその動作機序に関する研究
Project/Area Number |
13J03812
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
篠原 康男 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | スターティングブロック / クラウチングスタート / ブロッククリアランス / 身体重心の挙動 / 逆振り子モデル |
Research Abstract |
クラウチングスタートでは, スターティングブロックに加えられる力はスタート動作を行う上で重要な要因であるが, スターテイングブロックを押す力の大きさと動作の関係や, スターティングブロックを押す力の大きさの変化がスタート動作の機序に与える影響について, ほとんど検討されていない。本年度は, スターティングブロックへの力発揮とブロッククリアランス動作の関係を明らかにすることを中心に検討を行った。男子学生短距離選手に競技会を想定したクラウチングスタートを行わせ, 選手の動作と力を測定した。分析では, スターティングブロックに加えられた力積, 身体重心位置・速度, 身体各部の角度などを算出し, 特に身体重心の挙動(身体重心の逆振り子モデル)に着目してスターティングブロックへの力発揮とブロッククリアランス動作の関係を検討した。その結果, ブロッククリアランス局面における力発揮がより水平方向となっていた者ほど, ブロッククリアランス動作では上体の起こしを抑え, 身体の回転運動に合わせた伸展運動を行っており, 身体重心の推移がより水平方向に近づくように動作していた。これらのことから, ブロッククリアランスにおける力発揮がより水平方向となっている者ほど, 身体の回転を活かしたブロッククリアランス動作となっているものと考えられた。これらの結果は, 近年, 陸上競技の短距離走スタートに関する指導で用いられている「身体の倒れ込み」を活かすブロッククリアランス技法の有用性を示すものであると考えられる。また, スターティングブロックを押す力の大きさの変化がスタート動作の機序に与える影響に関しても, スターティングブロックの有無から検討を進めた。現在までの分析の結果, スターティングプロックを用いることは, ブロッククリアランスにおける力発揮を大きくするのではなく, 力発揮の方向をより水平方向に近づけることを可能にするものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたスターティングブロックへの力発揮とブロッククリアランス動作に関する実験を行い, 身体重心の逆振り子モデルを用いて分析を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, スターティングブロックを押す力の大きさの変化がスタート動作の機序に与える影響に関する検討を中心に研究を進める。測定実験は今年度中にほぼ完了しており, 得られたデータの解析および整理を進めていく必要がある。
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Research Products
(4 results)