2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J03830
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
永田 俊次郎 北海道大学, 総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多孔性配位高分子 / Metal-Organic Framework / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / 温度応答性 / pH応答性 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機配位子および金属イオンの配位結合により形成されるMetal-Organic Framework(MOF)は、ナノサイズの規則正しい細孔を有した多孔性材料として大きな注目を集めている。今回、私は種々の外部刺激に応答してゲストの放出を制御する系の構築を目的とし、pH 応答性部位としてアクリル酸と共重合させたポリマー(P2)を合成しMOF の表面近傍に修飾することで、pH 変化によるMOF のナノ細孔に包接されたゲストの放出のON / OFF を制御する系の構築を試みた。 2-アミノテレフタル酸および塩化ジルコニウム(Ⅳ)をDMF に溶解させ加熱静置することで、アミノ基を有したMOF(UiO-NH2-BDC)を調製した。その後、N-ヒドロキシスクシネートエステルを有したpH 応答性ポリマー(P2)を用いて、アミド化によりMOF に修飾した。また、ゲスト(プロカインアミド)の水溶液にUiO-NH2-P2 を浸漬させることでMOF のナノ細孔にゲストを包接させた。その後、各pH 条件下での吸収スペクトル測定を行いMOF に包接したゲストの放出量を追跡することで、pH 変化に応じたゲスト放出挙動を検討した。 UiO-NH2-P2 にゲスト分子として薬物分子(プロカインアミド)を包接させ、可視吸収スペクトル測定により、40 ℃においてそれぞれpH 6.86 下(中性りん酸塩pH 標準液)およびpH4.01 下(フタル酸塩pH 標準液)でのゲストの放出量を追跡したところ、pH6.86(Open 相)ではゲスト分子の放出が進行した一方で、pH 4.01(Closed 相)ではゲスト分子の放出が大幅に抑制される挙動が観測された。これによりゲスト分子の放出のON / OFF がpH 変化により制御可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題である「ゲート部位を修飾した多孔性配位高分子の創製と展開」において、ゲート部位に応答する刺激(温度、pH、光など)の選択性および速い応答速度を有した系の構築として、温度、pH、光刺激により相転移を誘起する刺激応答性高分子に着目した。温度、pH、光刺激刺激に応答した刺激応答性高分子を合成し多孔性配位高分子の表面に修飾することで、刺激応答性高分子の相転移を利用し、高分子の伸長状態では多孔性配位高分子へのゲストの出入りが可能な相を作りだした一方で、高分子の凝集状態では多孔性配位高分子表面の孔が塞がれることでゲストの放出を抑制する相を構築した。これにより、特別研究員は多孔性配位高分子にゲストとして色素分子や薬剤分子を内包させ、温度、pH,光によって、その放出をコントロールすることが可能な系の構築に成功した。本結果から私はおおむね順調に研究を進展させたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに私は研究課題である「ゲート部位を修飾した多孔性配位高分子の創製と展開」において、ゲート部位に温度、pH変化により相転移を誘起する刺激応答性高分子を多孔性配位高分子表面に修飾することで、それぞれの刺激に応じたゲストの放出制御を試みた。 一方で熱やpHだけでなく光刺激によっても相転移する刺激応答性高分子が報告されているため、本設計においては熱やpHだけでなく光などの刺激によっても同様にゲストの放出制御を行う系の構築が可能であると考えられる。 このため多種の刺激に応答する刺激応答性高分子の模索と合成を試み、多孔性配位高分子に修飾することで他の刺激によってもゲストの放出制御を行う系の構築を行う予定である。
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Research Products
(6 results)