2013 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジアにおける市民社会に関する実証的研究:人権NGOに着目して
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13J03833
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
上村 未来 上智大学, グローバル・スタディーズ研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 市民社会 / カンボジア / 土地紛争 / NGO |
Research Abstract |
1、本研究が定めた3つの主題のうち、2つ目は、ADHOC(カンボジア人権開発協会)を含む人権NGOとカンボジア政府、民間企業はどのような権力関係にあるのかを明らかにすることであった。この主題に関して、まずはカンボジア政府の土地紛争の認識を把握する必要がある。そこで本年度は、カンボジア政府が2012年5月に発令した新たな土地政策である指令01に焦点を当てその内容を検討し、所属大学のシンポジウムにおいて成果を発表した。指令01は、2013年7月に実施された総選挙の約1年前に始まり、対象地域を係争のない地域に限定した登記を推進する土地政策であり、政府は国営メディアを通して政策の実施状況を頻繁に宣伝した。これらの内容から、報告者は、同政策は選挙前の支持獲得戦略の一部であると結論づけた。 2、1で記述したシンポジウムでの報告内容をもとに、翌年度(2014年度)の研究科電子ジャーナル『AGLOS』に論文を投稿するため、2014年2月-3月に現地調査を実施し、関連省庁役人へのインタビューや補足資料の収集を行った。現地調査の結果から、指令01の発令後、これまでにない進度で土地の登記が進められていることが明らかになった。また、補足資料を検討した結果、指令01を発令した背景には、土地紛争の状況に対する国内外からの批判を、カンボジア政府が意識していたことが明らかになった。 3、本研究が定めた3つの主題のうち、3つ目は、ADHOCは土地紛争の解決プロセスにおいて、どのような活動を実施し、政府や民間企業に対していかなる影響を与えたのかであった。この点については、これまでの研究成果をまとめ、日本平和学会において報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の予定では、初年度は主題1および2を同時進行して進める予定であったが、本年度はより主題2の調査に時間を割く結果となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、まず主題2に関する成果として所属大学研究科の電子ジャーナルへの投稿を5月中旬に予定している。 主題1に関しては、夏期に現地調査を実施する予定である。
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Research Products
(5 results)