2013 Fiscal Year Annual Research Report
顔の無意識的脳内表象過程を探る:知覚交代現象を用いた脳磁場反応解析
Project/Area Number |
13J03846
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久米 迪子 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 顔認知 / 視覚的気づき / 脳磁場 / 両眼視野闘争 |
Research Abstract |
両眼視野闘争により、知覚交代現象を生じさせ、視覚的気付き前後で変化する「顔情報」の処理機構を明らかにすることを目的とする。本研究では、顔画像として、「ヒトの顔」、「サルの顔」、コントロール画像として「家」画像を用いて実験を行う。これらの画像の組み合わせで、両眼視野闘争を生じさせ、それぞれの見えの直前、直後を比較検討し、306ch全頭型脳磁場計測装置(MEG)によって視覚的気付き前後において顔特異的な脳磁場活動が生じているかを検討する。 2013年度は、「MEGによる両眼視野闘争を用いた視覚的気付き前後で生じる顔情報処理機構の検討」と「疑似視野闘争条件による顔認知特異的脳活動の検討」の実験を行うことを目的とした。申請当初の研究計画では、刺激を持続的に30秒程度呈示し、被験者の見えのレスポンスに同期して実験を行う計画だった。また、被験者による自発的な知覚の変化の解析に使用できそうだと考えた、γ帯域の活動を見るために脳磁場のデータはウェーブレット解析を用いて解析していた。2013年の8月まで上記の方法でデータを13名ほど取得し、解析を行った。しかしながら、被験者の反応のタイミングに、個人内また個人間のばらつきが大きく、周波数解析のデータを加算平均すると、知覚に関連する反応が消失し、無意識的な顔の知覚に関連する脳活動を見出すことは困難だった。この問題を解決するために、8月以降、曖昧刺激(ネッカーキューブやルビンの壺等)や両眼視野闘争刺激による知覚交代現象の実験手段として注目されている間欠的呈示法を用いることにした。現在視覚刺激を呈示する前後に生じた、視覚的気づき前後に生じている可能性のある、顔認知特異的な事象関連磁場の解析を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた実験方法では、成果が得られなかったため、先述したような大幅な実験計画の変更を行った。そのため学会発表は行えなかったが、多くの質の良い研究データを得ることができた。現在得られているデータを解析したところ、従来言われていた顔認知に関連する右の後側頭部から生じる170ms付近の活動とは異なる早期の時間帯(130-140ms)の左の後相当部付近に、顔認知に関連する可能性がある成分が見られた。研究手法を大幅に変更したが、データの取得、また解析用プログラムの作成まではH25年度中に完了したため、一定の成果が得られたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
被験者のレスポンスのタイミングのばらつきによる問題を解決するために、8月以降、曖昧刺激(ネッカーキューブやルビンの壺等)や両眼視野闘争刺激による知覚交代現象の実験手段として注目されている間欠的呈示法を用いることにした。この方法は、実験刺激の呈示開始に合わせて被験者の反応を解析する手法である。この手法を用いるよって、刺激呈示のタイミングに合わせた事象関連磁場を計測できるようになった。新しい実験手法に切り替えてから、2014年3月までに12名のデータを新たに取得した。現在、疑似視野闘争条件の時に誘発される事象関連磁場と、両眼視野闘争条件の時に誘発される事象関連磁場の解析中である。
|