2013 Fiscal Year Annual Research Report
曲面上のグラフの変形とその同値性の分類に関する研究
Project/Area Number |
13J03852
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松本 直己 横浜国立大学, 環境情報学府, 特別研究員PD
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Keywords | グラフ / N角形分割 / 対角変形 / 変形遷移図 |
Research Abstract |
本研究の目的は、曲面上のN角形分割(N≧3)における対角変形に関する変形遷移図を用いたグラフの性質や構造を明らかにしていくことである。(変形遷移図とは「一回の変形によって互いに移り合う」という隣接関係のもと構成した遷移グラフのこと)私は当該年度において四つの変形からなる球面上の六角形分割の変形遷移図を構成し、その遷移構造を完全に明らかにすることができた。これまでのグラフの変形に関する研究においては、遷移図の連結性程度しか指摘できていなかったのに対し、私の結果ではその内部構造まで詳細に記述できており、グラフの変形に関する研究に新たな視点を提供することに成功した。 また、この六角形分割における知見から、球面上の五角形分割に着目してみると、遷移図の連結性しか言えていなかった五角形分割についても、五角形分割の対角変形(二つの変形からなる)の各変形の役割を完全に明記することができた。加えて、球面上の四角形分割については、対象のグラフが常に二部グラフであることに着目し、部集合がそれぞれ等しい四角形分割について、その遷移図の直径(=互いに移り合うために必要な変形の回数)が頂点数に関する線形オーダーで抑えることに成功した。 これらの研究結果において、私は計3本の論文を査読付き学術雑誌に投稿し、うち2本は受理され、残り1本については現在審査中である。 以上のように、当該年度において交付申請書に記載した研究目的と研究実施計画に基づいて研究を行い、当初予定していたよりも十分な結果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目的であった球面上の六角形分割の遷移構造については完全に明らかにすることができた。加えて、球面上の五角形分割の遷移構造と四角形分割全体の部集合の大きさが等しい部分集合に着目した遷移グラフの直径についての結果も得られ、当初の予定よりも研究はかなり進展したと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初目的としていた球面上の六角形分割や五角形分割の遷移構造については、その内部構造まで明確に記述することができたが、任意の自然数N≧3について、頂点数が等しい任意の二つの球面上のN角形分割が対角変形によって互いに移り合うかどうかについてはまだ知られていない。また、現在の五角形分割や六角形分割の対角変形に関する定理のアルゴリズムでは、適用される変形の回数は頂点数に関して二乗のオーダーであるが、私はこの回数は頂点数に関して線形オーダーまで下げられると予想している。これらの問題を中心に、周辺の話題を含めて今後研究していく予定である。
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Research Products
(11 results)