2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒスタミンをリアルタイムに可視化する新規蛍光プローブの開発
Project/Area Number |
13J03865
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
押川 祐二 九州大学, 大学院薬学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ヒスタミン / 蛍光プローブ / イメージング |
Research Abstract |
本研究では、細胞・生体内のヒスタミンをリアルタイムに検出する新たな蛍光プローブの開発およびバイオイメージング研究を行い、ヒスタミンの関わる様々な細胞機能あるいは免疫応答機構の解明に貢献する事を目指している。 当該年度は、ヒスタミンに対する蛍光センシング機構の確立を目指して検討を行った。具体的には、金属イオンに配位できるキレーター部位を有する蛍光プローブを多数合成し、種々の金属イオンとの錯体形成・蛍光消光率、ヒスタミンに対する蛍光センシング能について評価した。キレーターとしては、これまでに報告のないヒスタミンに対するリアルタイムな応答を獲得するために、配位子を有するアミノ酸を利用したペプチド配列を用いた。様々なペプチド配列を有する蛍光プローブを合成し、評価した結果、カルボン酸を有するAspを含む配列で、水中で金属と安定な複合体を形成し、特にCu(II)を用いた場合において、ヒスタミンに対して迅速な応答を示した。しかし、今回合成した配列の蛍光プローブ-Cu(II)複合体は、ヒスタミンに対する特異性が低かった。特に生体内に豊富なグルタチオンに対して強く応答してしまい、ペプチド配列とCu(II)を用いる設計戦略では細胞系でのヒスタミンイメージングには適さなかった。 そこで、イミノ二酢酸(Ida)に配位子を追加したキレーターと金属を用いることで、ヒスタミンへの迅速な応答及び選択性を獲得することを目指した。その結果、Idaとエーテルとを組み合わせたキレーターとCo(II)を利用した蛍光プローブ-金属複合体で、ヒスタミンに迅速に応答した。また、グルタチオンに関しては、その応答をヒスタミンと同程度まで抑えることが可能であった。現時点では改良の余地があるものの、今回得られた結果は蛍光プローブの分子設計について、一定の指針となると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度においては、蛍光センシング機構の確立を目指していたが、分子設計に関して一定の指針は得られたものの、機構の確立には至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成25年度に得ら乳た指針に基づいて、蛍光プローブの改良・センシング機構の確立を目指す。また、開発した蛍光プローブを細胞系に適用し、特に肥満細胞の脱顆粒時におけるヒスタミンの放出の可視化を目指す。
|
Research Products
(5 results)