2013 Fiscal Year Annual Research Report
高効率触媒とマイクロリアクターを組み合わせた省エネルギー型反応システムの開発
Project/Area Number |
13J03979
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 貴史 京都大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マイクロリアクター / 移動現象 / 伝熱工学 / 等温反応操作 / 迅速昇温操作 / 流体力学 / 数値流体力学計算(CFD) / 設計指針 |
Research Abstract |
一般に強制対流による伝熱性能はレイノルズ数Reとプラントル数Prの関数としてNuで与えられ、さらに流路形状、線速などの設計条件が定まれば、流体-壁間の伝熱速度を求めることができる。また、マイクロ流路では流れが精緻であり実際に理論どおりの移動現象等の挙動が得られる。このことに着目し、本年度はプレート型流路を対象にマイクロ流路特有の伝熱特性を定量的に検討した。反応熱の発生速度と伝熱速度とを比較することでマイクロリアクターの等温反応操作が可能な領域を定量的に導き、数値流体力学(CFD)計算において、液相と気相の両者で一定の妥当性を確認した。この成果は雑誌「Chemical Engineering & Technology」で論文発表した。また、気相触媒反応のリアクター形式のひとつであるプレート型リアクターの検討も行った。ここでは、近年注目されるメタンガスおよびCO_2の利用を念頭に、メタンのCO_2改質を反応系として扱った。これに関し、触媒反応の速度解析を実施し、その反応速度パラメータを用いてプレート型リアクターの性能評価を行った。さらに、得られた結果から、工業規模の長鎖炭化水素製造に対応できるリアクターサイズを試算したところ、洋上プラントに建設可能なサイズであることを見出した。このほか、流体の迅速昇温のための研究として、目標とする昇温時間と温度に対して適切な設計条件を示す設計式の考察をした。こちらは今年度の化学工学会第79年会(岐阜)において発表した。 また、研究経費により流路内部の温度測定可能なマイクロフローを試作し、動作することを確認した。次年度はこの装置を用いて実験データを取得する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで個々に試算されていたマイクロ流路内の強制対流伝熱の関係をモデルを用いて定式化した。それにより、流体の伝熱操作に対する等温反応操作、無次元数を導入することで一般的な設計指針を提示することができ、さらに触媒反応の実測データを取得しマイクロリアクターの性能評価まで行った。これらの成果から、研究計画がおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
整理した課計指針の妥当性を数値流体力学(CFD)計算によって詳細に検討し、モデルの修正を行う。例えば、物性が温度依存する流体を扱う場合、デバイス設計に用いるべきパラメータを整理していく必要がある。 また、気相触媒反応のための新たなリアクター形式を提案する予定である。例えば、反応と分離のように複数の工程をまたぐ場合、マイクロ流路内の精緻な挙動を利用して、工程の一段化あるいはプロセスのコンパクト化が期待できる。 このほか用意するマイクロデバイスの形式を工夫しておくことでデバイス形状、触媒による性能評価も実施していく。
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Research Products
(4 results)