2013 Fiscal Year Annual Research Report
現代モロッコにおけるイスラーム主義政党と権威主義体制をめぐる研究
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13J03981
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
白谷 望 上智大学, グローバル・スタディーズ研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | モロツコ / 君主制 / 権威主義体制 / イスラーム主義 / 選挙 / 議会 / 政党政治 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究は、モロッコにおける権威主義体制延命メカニズムの解明を通じて、名目的な「反体制勢力」であるイスラーム主義政党「公正開発党」の政治活動と体制持続の因果関係を明らかにすることである。具体的には、次の3つの問題に取り組んでいる。 (1) 国王を中心とした支配構造と政治制度の研究 既存の研究では、フランス保護領期を経てもなお存続する国王の伝統的権威や支配構造の持続性が注目を集めてきた。しかし、独立後の国家建設の過程において、国王は自身の絶対的権威を維持しつつ、複数政党制や二院制などの民主的政治制度を積極的に導入している。そこで、国王がいかにして伝統的な支配制度と近代的政治制度の融合を図ったのかという点を明らかにする。 (2) 公正開発党のイデオロギーや政治戦略の変遷の分析 国王が政治的に利用する「公的な」イスラームに公正開発党はどのように対応し、イスラーム主義的イデオロギーを提示しているのか、国王とのイスラームをめぐる相克を分析する。また、公正開発党が政党間/イスラーム主義組織間関係からいかなる影響を受けているのかを丹念に精査する。 (3) 公正開発党の社会の支持基盤研究 イスラーム主義政党の政治活動を分析するためには、その支持基盤を解析する必要がある。そこで、公正開発党の支持率が高い選挙区を選び出し、質問票等を使って支持基盤の実態(所得、学歴、年齢など)を明らかにする。 平成25年度は、とりわけ(2)と(3)の研究を中心に進めた。これらに関しては、これまでのモロッコでの現地調査で得られたデータや資料をもとに、「アラブの春」後に実施された2011年国民議会選挙の結果を分析し、その成果が学会誌等に掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り平成25年度は、主に(2)と(3)の研究を進めた。公正開発党を中心に、モロッコにおける議会政治と政党政治の分析を行い、権威主義体制を支える制度としてのそれらの役割を研究論文などで明らかにした。しかし、時間の関係もあり、(3)の質問表を使った各政党の支持基盤の調査を行うことが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、主に(1)「国王を中心とした支配構造と政治制度の研究」に取り組む予定である。その準備として、平成25年度には、他の若手研究者とともに、中東・北アフリカ地域の君主制採用国の盤石性を分析することを目的とした「アラブ君主制国家比較研究会」(平成26年度より[財]アジア経済研究所の研究プロジェクトとして2年間の採用が決定している)と、モロッコ独特の政治体制を意味する「マフザン」の概念を通時的に分析することを目的とする「マフザン研究会」を立ち上げた。後者の研究会に関しては、現時点での成果を、NIHUイスラーム地域研究・若手研究者の会(平成26年7月例会)にて発表することが決定している。こうした共同研究ではとりわけ、国王による支配の正当性と国民の忠誠の実態を明らかにすることを目標に、今後も研究を継続していく予定である。
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Research Products
(6 results)