2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J03998
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
渡邉 洋平 横浜国立大学, 環境情報学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 暗号理論 / 情報理論的安全性 / 計算量的安全性 / 時刻制御 / 放送型暗号 / 秘密分散法 / 暗号プロトコル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,①時刻の「開始」を制御する暗号基礎技術における成果の発展,②時刻の「停止」を制御する暗号基礎技術の研究開発,に分けて研究を行った. ①前年度に国内会議で既に発表を行っていたタイムリリース秘密分散法について,更に内容を発展させ,査読付き国際会議にて発表を行った.具体的には,情報理論的安全性,計算量的安全性の両方の観点から,重要な暗号基礎技術の一つである秘密分散法において,時刻の「開始」を制御する機能であるタイムリリース性を実現することができるかを検討し,どちらの安全性のもとでも実現可能であることを示した.これらの成果は更に完成度を高めたうえで,国際論文誌に投稿中,または近々投稿予定である.更に前年度までの成果であった,タイムリリース性をもつ情報理論的に安全な鍵共有方式,暗号化方式,認証方式についても更に細微な点まで安全性証明を与え,権威ある国際論文誌に投稿中である. ②近年普及が進んでいるクラウドストレージに暗号化情報が保存され,必要に応じて利用者が能動的にそれを取得するような状況を想定し,その状況下において,任意の時刻で「停止」を制御するような方式を考案した.具体的には,数理モデル,安全性の定式化を行い,また必要な秘密情報長の下界も導出し,その下界の等号をみたすような最適な構成法を提案することに成功した.更に,より実用化を考え,ストレージ上の暗号化情報が悪意ある改変をなされたとしても検出できるような方式も提案した.本成果により,国内で2番目に大きいセキュリティに関する会議CSS 2014の学生論文賞,また国際会議IWSEC 2014のthe Best Poster Awardを受賞した.これらの内容は更に完成度を上げたうえで,権威ある国際会議に投稿予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,タイムリリース方式について更に研究を発展させ,また前年度からの課題であった,任意の時刻で「停止」を制御する暗号基礎技術の研究開発に成功した.具体的には,研究実績の概要にも示したように,それぞれにおいて新たな方式を考案し,数理モデル,安全性定義を与え,また安全な方式を達成するために必要な秘密情報長の下界の導出,その下界の等号をみたすような最も効率的な鍵長をもつ構成法の提案を行った. また,もう一つの研究課題であった“これまで研究してきた方式が汎用的結合可能安全性を満たすかどうかの検証”に関しても,既存研究の調査を行っており,任意の時刻で「停止」を制御する暗号基礎技術の基礎研究が完成次第着手できる状況にある.従って,計画に多少の遅れは見られるものの,前年度からの課題が概ね達成できたため,「おおむね順調に進展している」との自己評価に至った.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず,平成26年度の研究成果の完成度を更にあげた論文を権威ある国際会議、論文誌等に投稿・発表予定である.具体的には,任意の時刻で「開始」を制御するタイムリリース方式に関する成果は国際論文誌に投稿中,または投稿予定であり,任意の時刻で「停止」を制御する暗号基礎技術に関する成果は権威ある国際会議に投稿する計画である. 更には,これまで研究を行ってきた諸方式が汎用的結合可能安全性を満たすかどうかを検証し,満たさないようであれば,満足する方式を考案する計画である.汎用的結合可能安全性を達成することで,実システムにどのように組み込まれても安全であることが保証できるため,より実用的な暗号基礎技術を実現することができる.
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Research Products
(11 results)