2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J04024
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 哲仁 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヒストンバリアント / エピジェネティクス |
Research Abstract |
受入研究者である大川准教授との共同研究の結果から、マウス骨格筋細胞C2C12における遣伝子集積時期を解析したところ、増殖段階ですでに骨格筋特異的遺伝子群がその発現前から集積していることが明らかとなった(論文投稿準備中)。そこで、本研究の目的である「選択的遺伝子発現の初期段階にH3.3と結合する『分化責任因子』の同定」のための実験を増殖段階に絞り行うこととした。H3.3を含むヒストンH3バリアントに対する様々なヒストン修飾は、特徴的な遺伝子発現状態を示すことが知られている。中でも、転写が活性な遣伝子に多く存在するK4me3修飾と転写が不活性な遺伝子に多く存在するK27me3修飾が同時に存在するbivalent修飾は、多能性を有するマウスES細胞において分化特異的遺伝子のプロモーター上に存在しており、どの細胞にも分化できるように全ての分化特異的遺伝子がON/OFFの切り替えを迅速に出来る準備段階であることが示唆されている。ゆえに、まず始めに本研究者は、このbivalent修飾やこれに関わるヒストン修飾酵素とヒストンバリアントの関係を調査した。本実験は、多能性を有するマウスES細胞ではなく、実験計画書にも記載してある骨格筋芽細胞C2C12を用いることで、対象となる分化遺伝子を絞り短期間で成果が出るようにした。本研究で、ゲノムに取り込まれているH3.3を簡単に排除する系として、H3の主要なヒストンであるH3.1の過剰発現細胞を作製した。内在性H3.1と識別できるようGFPを融合したH3.1を強制的に発現させると、分化特異的な遺伝子のH3K4me3修飾の減少と、H3K27me3修飾の増加を招き、結果として分化能が欠如することが明らかになった。また、H3.3の取り込み阻害によりbivalent修飾が抑制されたことから、遺伝子のプロモーターへのH3.3の取り込み依存的にbivalent修飾が起こることが示唆された(論文投稿中)。上記研究の結果から、H3.3と結合する分化責任因子は、ヒストン修飾酵素を含む大きな複合体に含まれる可能性があるため予想される関連タンパク質のモノクロナル抗体を作製し、論文化を行った。今後は、H3.3結合因子の同定と、他の細胞や生体組織にも応用可能な、より簡便で精度の高い遺伝子集積評価系の立ち上げを行いたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目的である「選択的遺伝子発現の初期段階にH3.3と結合する『分化責任因子』の同定」のための準備段階を1年でほぼ達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の実験準備として、H3.3と結合する分化責任因子を同定するために、GFP-H3.3を発現するC2C12細胞を作製した。これにより、内在性H3.3抗体による因子の同定と外来性のGFP-H3.3と結合する因子との2パターンを用いて共通する因子を探し出すことで、より精度が上がることを期待している。今後は、H3.3結合因子の同定と他の細胞や生体組織にも応用可能な、より簡便で精度の高い遺伝子集積評価系の立ち上げを行いたいと考えている。
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Research Products
(7 results)