2013 Fiscal Year Annual Research Report
PDIファミリー酵素による酸化的フォールディング中間体の認識機構とその生理的意義
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13J04030
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥村 正樹 東北大学, 多元物質科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | フォールディング / 小胞体 / ジスルフィド結合 / PDI / X線小角散乱 / 結晶構造解析 / ERp46 / Prx4 |
Research Abstract |
近年 ER oxidoreductin 1 (Ero1)以外のprotein disulfide isomerase (PDI)酸化酵素が相次いで同定され、小胞体にはジスルフィド結合形成のための複数の酸化経路が複雑なネットワークを形成しているという新たな概念が確立されつつある。 我々は新規に見つかったPDI酸化酵素peroxiredoxin-4 (Prx4)を介したジスルフィド結合導入経路の同定と機能的役割の解明を目的として研究を進めた。その結果、Ero1はPDIを特異的に酸化するのに対し、Prx4はPDIファミリータンパク質のうちERp46とP5の酸化に特化した酸化酵素であることを明らかにした。これら異なる複数の酸化経路は、協同的かつ相乗的に酸化的フォールディングを促進することも明らかにした。さらにP5のチオレドキシンドメイン(Trx)とPrx4の活性部位システインを含むC末端tail領域の複合体の結晶構造によりPrx4によるチオレドキシンドメイン認識の詳細な分子機構が解明された(Scientific Reports 2013)。 ERp46は3つのTrxから成るが、このうちTrx1, Trx2のX線結晶構造をそれぞれ2.5Å, 0.95Åの分解能で決定し、X線小角散乱法によりERp46の全長構造のモデリングを行った結果、ERp46は他PDIファミリータンパク質にはみられない新規な「開いたV字構造」をとっていることが明らかにした。系統的な機能解析により、Prx4-ERp46経路は酸化的フォールディング初期におけるジスルフィド結合導入のステップを促進するのに対し、Ero1-PDI経路は酸化的フォールディング後期における中間状態から最終天然状態への移行ステップを促進することを見い出した。ERp46とPDIの異なる構造と機能的役割が明らかとなった(Structure 2014)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Prx4がPDIファミリーの1つであるP5やERp46を選択的に酸化することを明らかにし、小胞体における複雑なジスルフィドネットワークの一端を解明した(Scientific Reports 2013)。ERp46の構造情報を得ることに成功し、PDIとの機能や構造の違いを明らかにし、ERp46によるジスルフィド導入機構を提唱するに至った(Structure 2014)。これら成果は本申請の年次計画より早い段階で成果報告に繋がっており、区分②の選択とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、酵素間の認識機構の解明を目指した複合体の構造解析に着手する。さらに、PDIファミリーと基質フォールディング中間体の構造解析も並行して行う。手法としては、NMRや結晶構造解析、小角散乱を駆使したアプローチを予定通り行っていく。機能解析も概ね申請書通りの進行で問題ない。
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Research Products
(25 results)