2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規触媒開発を基軸とする環境調和型アリル化合物合成法の開発とその応用
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13J04043
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
澁谷 亮三 九州大学, 薬学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 白金触媒 / 有機触媒 / アリル化合物 / フロー反応 / 不斉反応 |
Research Abstract |
まず、特別研究員採用申請時に論文投稿準備中であった『白金触媒を活用した活性メチレン化合物を求核剤とするアリルアルコールの直接置換反応』に関して、論文発表を行った[Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 4377]。また、いくつかの学会にて研究発表を行い、高い評価を得たと考えている[第60回有機金属化学討論会にてポスター賞受賞]。 次に、平成25年度において、主な研究実施計画としていた「キラルリン配位子及びキラルカウンターアニオンを用いた光学活性なアリル化合物合成法の開発」「白金触媒膜を導入したマイクロフローリアクターによるアリルアルコールの直接置換反応の開発」の二つに関して、以下に研究実績を報告する。「キラルリン配位子及びキラルカウンターアニオンを用いた光学活性なアリル化合物合成法の開発」に関して、平成25年度はキラルカウンターアニオンの検討に重点をおいて取り組んだ。研究内容としては、先に報告した活性メチレン化合物とのアルキル化反応に対し、キラルアニオンを添加して立体選択的な反応を目指した。市販のキラルリン配位子を添加して様々な検討を行ったが、残念ながら、不斉の発現を確認することはできなかった。 「白金触媒膜を導入したマイクロフローリアクターによるアリルアルコールの直接置換反応の開発」に関して、申請時の研究計画の通り、魚住・山田らと共同研究を行った。研究の結果、これまでに魚住・山田らが用いていた触媒膜作成法の一部を改良することで、マイクロフローリアクターへの白金触媒膜の導入に成功した。また、触媒膜を構成する高分子の合成も行い、アリルアルコールの直接置換反応に高い活性を示すことが期待される、新規高分子白金触媒膜の形成にも成功した。なお本研究は、2014年3月の日本薬学会第134年会にて研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、当初計画していた炭素求核剤によるアリルアルコールの触媒的な直接置換反応に関して、白金触媒反応と有機触媒反応を組み合わせるDual catalysisシステムの構築により、望む直接置換反応を達成できた。また、フロー合成に関する研究に関して、魚住・山田らとの共同研究を行い、マイクロフローリアクターへの新規白金触媒膜の導入に成功し、今後につながるいくつかの重要な知見を得ることが出来たと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
「キラルリン配位子及びキラルカウンターアニオンを用いた光学活性なアリル化合物合成法の開発」に関して、今後はキラルリン酸配位子の検討を中心とした不斉反応の開発や、得られた不斉合成への知見を基として、アリルアルコールの不斉直接置換反応を用いたカイニン酸全合成開発を行う予定である。「白金触媒膜を導入したマイクロフローリアクターによるアリルアルコールの直接置換反応の開発」に関して、昨年度に開発した白金触媒膜のさらなる活性向上を目指して研究を行う予定である。
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Research Products
(11 results)