2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規触媒開発を基軸とする環境調和型アリル化合物合成法の開発とその応用
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13J04043
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
澁谷 亮三 九州大学, 薬学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遷移金属触媒 / 水酸基活性化 / πアリル金属錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
特別研究員採用申請時は『白金触媒膜を導入したマイクロフローリアクターによるアリルアルコールの直接置換反応の開発』、『典型金属―遷移金属ハイブリッド錯体合成を軸とした光学活性なアリル化合物合成法の開発』の二つの研究計画を提出していた。 前者に関して、採用第 2 年度目においては、触媒を導入したフローリアクターを用いた、アリルアルコールの直接アミノ化反応の検討を行った。触媒膜の導入条件や、フローの流速、流量などの各種条件検討を行ったが、目的の直接アミノ化反応は全く進行しなかった。原因として、やはり触媒反応の反応性の低さが問題となっていると考えられたため、より穏和な反応条件をバッチ反応にて探索することとした。特にアンモニア水を 100 度という高い反応温度で加熱する必要があったアンモニアを求核剤としたアリルアルコールの直接アミノ化反応 (Angew. Chem. Int. Ed. 2012, 51, 150.) に関して、触媒最適化や水酸基活性化剤の添加など、穏和化の検討を行った結果、反応温度を 100 度から室温の 26 度にまで下げることに成功した。 後者に関して、採用第2 年度は上記に示したように、触媒最適化や水酸基活性化剤の添加など、穏和化の検討を行った結果、アリルアルコールの直接変換反応に関して、従来法よりもより穏和な条件で反応を進行させることに成功した。また、検討の中で、従来の白金触媒以外にも、パラジウム触媒も適応可能であることを見出しており、これらの新しい条件の下で再度不斉反応の検討を行うことで、不斉の発現を目指す予定である。また、その他の結果として、辻-トロストタイプの反応の立体反転の性質を活かした、天然物カイニン酸の全合成にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『白金触媒膜を導入したマイクロフローリアクターによるアリルアルコールの直接置換反応の開発』に関して、種々の検討の結果、触媒の活性化には成功したが、反応性の低いアンモニアを用いた場合には、目的の一級アミンを得ることが困難であることがわかった。そこで、もう一度原点に立ち返り、アンモニアを用いた際の反応条件の最適化をバッチ条件で行い、添加剤を加える事で反応温度を100℃から室温まで低下させることに成功した。さらなる反応条件の最適化は必要であるが、これは反応のフロー化に十分な触媒活性を発現させることを可能とした有用な知見である。 『典型金属―遷移金属ハイブリッド錯体合成を軸とした光学活性なアリル化合物合成法の開発』に関して、キラルリン配位子やキラルアニオンを用いた不斉反応を試みたが、不斉の発現を確認することは出来なかった。しかし、アリルアルコールの直接変換反応に関して、触媒最適化や水酸基活性化剤の添加などの穏和化の検討を行った結果、従来法よりもより穏和な条件で反応を進行させることに成功した。また、検討の中で、従来の白金触媒以外にも、パラジウム触媒も適応可能であることを見出しており、最適化した新しい反応条件の下で再度不斉反応を検討しなおすことで、不斉反応の達成が期待できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
『白金触媒膜を導入したマイクロフローリアクターによるアリルアルコールの直接置換反応の開発』に関して、バッチ系反応の最適化による新しい反応条件をフロー系に応用する予定である。具体的には、これまで用いていた白金触媒をパラジウム触媒に置き換えたり、水酸基を活性化するルイス酸を触媒担持部位に新しく導入するなどを想定している。『典型金属―遷移金属ハイブリッド錯体合成を軸とした光学活性なアリル化合物合成法の開発』に関して、従来の白金触媒以外にも、パラジウム触媒も適応可能であることを見出しており、従来法よりも穏和化した新しい反応条件の下で、キラルリン配位子やキラルアニオンの検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)